NTTとNTTデータ、海外事業を統合へ 発表巡る株価の乱高下に澤田社長も苦笑
日本電信電話とNTTデータが海外事業を統合すると発表した。NTTでグローバルでデータセンター・ネットワーク事業を展開する「NTT Ltd.」と、NTTデータの海外事業を統合し、国際競争力の強化を目指す。
日本電信電話(NTT)とNTTデータは5月9日、海外事業を統合すると発表した。NTTでグローバルでデータセンター・ネットワーク事業を展開する「NTT Ltd.」と、NTTデータの海外事業を統合し、10月1日付けで海外事業会社を共同設立する。
新会社の売上高は約3.5兆円で、売上比率は海外が60%になる見込み。従業員数は約18万人に上るという。新会社の持株比率はNTTデータが51%、NTTが49%。最終的にはNTTデータがNTTから4%相当の株式を追加取得し、持ち株比率を55%対45%とする。
NTT Ltd.は新会社の傘下に再配置する。2023年にはNTTデータをホールディングス化し、傘下に国内事業を担う新会社を設立。国内事業と海外事業を会社ごとに分割する。
事業の統合により戦略策定のプロセスを一体化することで、迅速な意思決定を可能にし、機動性の向上やグループのガバナンス強化を進めるとしている。海外事業に関する人材をまとめることで、地域性に合わせた意思決定も可能にする。
NTTデータの株価は9日午前10時30分ごろに急上昇し、前日終値から15%を超える伸びを見せたが、同日午後1時に共同発表会が始まって以降に急落。一時は前日終値を割るまでになった。
Twitterでは「NTTデータのTOB(株式公開買付)があるのではないか」との予想もあった。記者からの株価の反応に対する質問について、NTTの澤田純社長は「期待感としてTOBがあるんじゃないかと思われたということですが、逆説的に、TOBのような大きなものを場中に発表することはあり得ない」とコメント。急激に株価が変動した点については「非常に反応が速くて。落ちる反応も速かったですけど」(澤田社長)と苦笑した。
また、NTTはNTTデータとの連係強化や1株当たりの利益向上に向け、1000億円の追加出資を実施する予定としている。
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NTTとNTTデータが5月9日午後1時から共同で発表会を開催する。内容は未公開だが、NTTデータの株価は同日午前10時30ごろから10分足らずで約450円上昇。前日終値から一時15%を超える伸びを示している。
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