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ソニーが賭ける「メタバース」と「モビリティ」 勝算はあるか?(2/3 ページ)

2022年度の経営方針説明会で、ソニーグループ会長兼社長 CEOの吉田憲一郎氏は今後の成長領域を「モビリティ」と「メタバース」と語った。

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メタバースへの入り口となる事業は「ゲーム」

 一方で、多少意外さもあったのが「メタバース」への期待をストレートに語ったことだ。メタバース領域は定義があやふやで、現状の注目もバズワード的な部分がある。

 実際吉田社長自身、「メタバースの事業モデルをどうするかは大きな課題」ともいう。

 ただ、メタバースへの入り口となる事業は明確。それがゲームだ。

 「エンターテインメントの体験はネットワークを通じ、よりライブ的に進化していきます。ライブ的なネットワーク空間では、ゲームや映画、音楽といったジャンルが混じり合うようになり、それぞれがつながります。ゲームはすでにアーティストの表現の場となっていますが、メタバースはコンテンツが交差するライブネットワーク空間になっていくでしょう」


メタバースは「ライブネットワークスペース」。そこをエンタメとビジネスの場にしていく。

 吉田社長のビジョンはシンプルだ。リアルタイムCGと、それを制作する上で重要となるAIなどのテクノロジーは進化しており、結果的にそれを支えるのはゲームで開発されたノウハウである。


ゲーム技術はネットワーク上のライブ・エンターテインメントの核となる

 メタバースのビジネスモデルには幅広い可能性があるが、ソニーが見ているのはまず「ゲーム」であり、そこから広がる「ライブエンターテインメント」だ。それらはメタバースを構成する一部でしかないが、すでに収益構造が見えており、強固なファン基盤を持つ分野でもある。

 音楽・映画の中でも3Dアセットを作ることは増えている。アーティストとしても、オンラインライブなどの新しいジャンルへ挑戦したい人々も多く、そこで3Dアセットを作る必要は増えている。

 ならば、そうしたものをどこでどう生かすのか? それは結局、ゲームをベースとしたメタバースによるライブサービス、ということになるわけだ。

 ソニーはゲームエンジンである「Unreal Engine」の開発元で、ネットゲーム「Fortnite」の運営元でもあるEpic Gamesに、2020年から多額の出資を続けている。2022年の4月には10億ドル投資、累計で14億5000万ドルを同社に注ぎ込んで、Epic株の約4.9%を保有している。Fortniteの中でライブをすることだけでなく、結局、3Dアセット制作やその活用にゲームエンジンを使うことを考えれば、Epic Gamesとの関係強化は望ましい方向性だ。その投資を活用する先としても、メタバースを使ったライブエンターテインメントというのは分かりやすい。


Epic Gamesの「Fortnite」のような場は、メタバースの初期段階であり、ライブエンターテインメントの実験場でもある。

 ただ、その具体例はまだ小粒。ここからどのように、どこをパートナーとしてビジネスを加速するかが重要な課題である。

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