大規模な太陽フレアで2週間に渡り通信障害、広域停電の可能性も 総務省が“最悪のシナリオ”公開
携帯電話はつながらず、自動運転車は事故を起こし、大規模停電も──総務省は21日、「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」の報告書の中で大規模な太陽フレアが発生した場合の「最悪のシナリオ」を公開した。
携帯電話はつながらず、自動運転車は事故を起こし、大規模停電も──総務省は6月21日、「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」の報告書の中で大規模な太陽フレアが発生した場合の「最悪のシナリオ」を公開した。
100年に1回かそれ以下の頻度で発生する規模の太陽フレアを想定。対策をしていない場合、無線システムやGPSを中心に多大な影響を受け、2週間に渡って断続的に利用できない状態になるという。
例えば携帯電話は昼間に数時間程度のサービス停止が全国の一部エリアで発生する。その影響で回線の輻輳(ふくそう)や通信途絶が起き、110番などの緊急通報を含む全ての通信がつながりにくくなる。ネット接続も困難になる。
GPSは測位精度が大幅に落ち、自動運転車やドローンの位置情報に最大で数十mのずれが生じて衝突事故も。地域の防災行政無線や消防無線など、VHF帯やUHF帯の周波数を使う無線システムも同様で、公共サービスが維持できなくなる。
電力インフラも止まる可能性がある。太陽フレアで噴出したガス(プラズマ)が磁場を伴い地球に到達すると地球の磁気が乱されることがあり(=磁気圏じょう乱)、地磁気誘導電流が発生すると対策していない電力インフラは保護装置が誤作動して広域停電が発生する。
報告書では過去に発生した大規模停電などを挙げ、国や関連企業・団体、学術界はリスクを理解して対策を講じるべきと結論付けた。特に通信、放送、電力、航空、宇宙・衛星システムの関連企業は「行動に着手する必要がある」としている。
報告書では情報通信研究機構(NICT)が進めている宇宙天気予報の高度化について「世界トップレベルの研究拠点を形成しつつ、企業が抱える課題の解決支援を行うべき」と後押し。中心となる「宇宙天気予報オペレーションセンター(仮称)」の創設を提案した。
NICTは1952年から太陽活動など「宇宙天気」の観測を行っており、1988年からは「宇宙天気予報」として観測結果を配信している。2017年9月に発生した大規模な太陽フレアの際も関係事業者への注意喚起などを行った。
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