2022年度「IT導入補助金」を徹底解説――「インボイス制度」対応を支援 PCも補助対象に(2/3 ページ)
2022年1月19日、政府は2022年度のIT導入補助金の概要について公表しました。今回、企業間における取引のクラウド化拡大やデジタル化の推進、インボイス制度の導入や、新たな類型などが大きなポイントです。本記事では、どの部分が強化されたのか詳しく解説します。
前年までとの相違2点・制度概要
22年度におけるIT導入補助金が、前年と異なる2つのポイントについて解説します。
1.補助率、補助額
今回の支援制度では、補助対象を会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトに特化し、補助率と補助額が引き上げられました。
補助率
- 補助額が50万円以下の場合:補助率を2分の1から4分の3に引き上げ
- 補助額が50万円超〜350万円の場合:補助率を2分の1から3分の2に引き上げ
- 基盤導入経費:デジタル化基盤導入類型と同様、2分の1から4分の3へ
- 消費動向等分析経費:3分の2
- 参画事業者のとりまとめに係る事務費・専門家費:3分の2
補助上限額
- 基盤導入経費+消費動向等分析経費=3000万円
- 参画事業者のとりまとめに関する事務費・専門家費=(基盤導入経費+消費動向等分析経費)×10%
2.POSレジ・PC・タブレットが活用可能に
前述のとおり、今回はハードウェアに関する補助金も追加されています。具体的には、PC・タブレット、レジ・券売機などの購入を補助対象に追加しました。
- PC/タブレット:補助上限額10万円、補助率は2分の1で支援
- レジ・券売機など:補助上限額20万円、補助率は2分の1で支援
上記の対策は「デジタル化基盤導入類型」として整理され、中小企業・小規模事業者に対してインボイス制度も見据えたデジタル化を一挙に推進していくため、会計ソフトや受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの導入費用に加えて、PC・タブレット、レジ・券売機等の導入費用も支援する方針となりました。
詳細の条件は下記のとおりです。
- ITツール:50万円以下の場合は4分の3、50万円超〜350万円では3分の2
- PC等:10万円までの場合は2分の1
- レジ等:20万円までの場合は2分の1
- 対象経費:ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料2年分)、ハードウェア購入費、導入関連費
どのような事業者が適しているのか
IT導入補助金の活用については、下記に挙げるようなニーズを抱える事業者におすすめです。
1.クラウドサービスを導入したい
クラウド導入は、IT導入補助金を利用して国が企業における推進・定着を目指す主要な施策であり、審査の上でも加点項目となっています。クラウド導入を考えている事業者は、今回の機会を活用してIT導入補助金の活用を検討すべきでしょう。
IT導入補助金に興味があり、また疑問がある場合などには、補助金に詳しい専門家に相談してみることもポイントです。
2.インボイス制度対応のPOSレジ・会計システムへ切り替えたい
インボイス導入による大きなメリットとして、透明性の高い取引を担保することや、電子インボイスによるペーパーレス化、また自動化による省力化や郵送費のコスト削減など、多方面での業務効率化が挙げられます。
各方面で電子インボイスの仕様標準化の整備が進み、データ授受が円滑になると、多様な情報が共有され、5Gの社会環境では非常に使い勝手が向上します。
今後、企業においても個々のインボイス管理をはじめ、電子化が必須の環境となります。こうした状況に備え、インボイス制度に対応したPOSレジや会計システムへの切り替えを進めたい企業は活用すべきでしょう。
3.デジタル化を一挙に進めたい
少子高齢化で労働力不足が予測される状況で、中小企業にとってはデジタル化を活用した生産性向上に取り組むことは非常に重要な課題です。
また、デジタル化により生産性が向上することで、サービスの質や収益が上向き、労働環境の改善といった副次的な効果も得られます。
「デジタル化に取り組みたいが、新型コロナの影響などで手元資金に不安があり、ITツール導入によるデジタル化が進まない」といった悩みを抱える経営者を支援するのがIT導入補助金です。
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