スパコン「富岳」のクラウド化実験 富士通が電磁波解析で実証
富士通が、スパコン「富岳」のコンピューティング技術をクラウドサービスとして提供・活用する実証実験を行った。実験では、宇宙分野と交通分野での電磁波のシミュレーションに富岳を活用。それぞれ有効性を確認できたという。
富士通は7月21日、スーパーコンピュータ「富岳」のコンピューティング技術をクラウドサービスとして提供する実証実験を行ったと発表した。実験では、宇宙分野と交通分野での電磁波のシミュレーションに富岳を活用。それぞれ有効性を確認できたという。
宇宙分野ではJAXAと協力し、富岳のクラウド環境で富士通の電磁波解析技術「Poynting for Microwave」(Poynting)を活用。これまで難しかった、天体観測などに使われる観測装置「X線分光器」に悪影響を与える電磁波の定量評価に成功、装置の観測性能を事前に検証できたという。
交通分野でも同様に電磁波解析技術を活用。都市における路車間通信(道路と車の通信)の品質評価に成功したという。従来手法では建物などの複雑な形状を考慮できなかったところ、考慮した上での評価が可能に。JR南武線の武蔵中原駅前交差点(神奈川県川崎市)をモデルにシミュレーション。通信の強度などを評価できたという。
実験は、スーパーコンピュータなどのコンピュータ技術をクラウドサービスとして提供する取り組み「Fujitsu Computing as a Service」(CaaS)の一環として実施した。結果を受け、富士通はスーパーコンピュータのクラウド環境で動作するPoyntingを、2023年度をめどにSaaSとして提供する予定。ただし、提供時は富岳ではなく別のスーパーコンピュータを使うという。
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