IBM PCから41年、そして現在へ PCとは何だったのか、改めて考える:【最終回】“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る(3/3 ページ)
23回にわたって連載してきた「PCの変遷」。最終回は、Intel vs. AMDの競争激化によるRISC陣営弱体化と、Arm、RISC-Vの台頭、そしてPCアーキテクチャとはいったい何だったのかという問題を考えます。
CPUアーキテクチャの変更が可能な時代
これをいち早くやったのがAppleで、MC68K→PowerPC→x64→Arm、と4回もCPUのコアアーキテクチャの変更を行っており、そのたびごとに古いアプリケーションとか周辺機器をバンバン切り捨てているが、それでもユーザーが未だについてくるということは、適切な対応さえ行えばアーキテクチャの変更そのものは可能ということでもある。
今すぐにPCのアーキテクチャが変わるということは無いにしても、将来のPCがx64のままであり続けるかどうかは定かではない。もちろんx64がさらに進化する可能性もある訳だ(x128にならない、という保証もない)。
そういう意味では、“PC”の定義は最初に戻るが、“Personal Computer”であるものがPC、ということになる。
あくまでPersonalに使えるComputerで、今後はSmartphone/Tabletもここに入ってくる可能性はある。実際現在Smartphone/TabletとPCを分けるものは、主にユーザーインタフェースである。
タッチ操作だけでできるものに関してはPCと同等というか、それこそお絵描きなどではPCより便利なケースも見受けられる。その一方で、プレゼンテーションの作成とか文章作成、表計算なんかをスマートフォンやTabletでやるのは結構苦痛だ。ただしこれは本質的な問題ではなく、インタフェースの問題なのであって、きちんとしたキーボードやマウスと物理的に大きな画面、それとOSやアプリケーションの対応があれば解決する問題だ。
将来はSmartphone/TabletがPCとして扱われる時期が来る可能性もある。要するにPersonal Computerとは何か? と言えば、ハードウェア要件とかでこれを規定するのは非常に難しいという話であり、結局のところ「身近で利用可能なコンピュータ」がPCとして扱われる、という定義のループに戻ってしまうあたりがなんともはや。
これからもPCは進化し続けることは間違いなく、それをハードウェア要件で縛るのは愚の骨頂ということを、約2年掛けて再確認したのがこの連載だった訳だ。
ということで通算23回にもなったこの連載も終了である。編集担当の松尾さんは初回のアオリで「1年たっぷりかけての長期連載になる予定だ」とか書いていたが、実際には2年近くになってしまった。次のネタは未定だが、また違うお話をさせていただくかもしれない。
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