飛行機で、仕事で、Nreal Airを使ってみた ゲーミングPC接続も実用域に(2/2 ページ)
サングラス型のシースルーディスプレイ「Nreal Air」の本格活用編。
小さなゲーミングPCとの組み合わせは?
では「仕事」はどうだろう? これまでもPCやMacで使っているが、もっともっと荷物をシンプルにし、「目にディスプレイをかけているからできる」使い方を試してみた。
以前の記事で、「ポータブルゲーミングPCにつなぐと面白い」ことは分かっていた。では、さらにキーボードを用意するとどうなるだろう?
ということで、ポータブルゲーミングPCである「AYANEO 2021 Pro」を用意し、試してみた。
スマホとつなげばもっとミニマムになるのは分かっている。例えばGalaxy Z Fold3と組み合わせれば、サムスン独自のデスクトップ環境である「DeX」を使い、PC的に作業は可能だ。だがやはり「PCではない」ので機能的にも操作的にもちょっと不満が残る。iPadでもできるが、iPadは広い画面あってのものなので、やはりこちらもいまいち。ならば……ということでAYANEOの出番となった。
AYANEOとNreal Airをケーブルでつなぎ、Bluetoothでキーボードをつないだら、AYANEOはそのまま足元のかばんの中へ入れてしまう。すると、卓上にはキーボードしか残らない。今回はタッチパッド付きの「FMV Mobile Keyboard」を使っているので、机の上は極限までシンプルになる。
Windows 11の場合、外部ディスプレイ接続時には「外部ディスプレイにだけ映像を出す」設定もできる。具体的には以下の画面のように、「2のみに表示する」を選ぶ。そうするとAYANEO本体には画面が表示されなくなるので、バッテリーの節約になる。
AYANEOはゲーム機としてみると、「PCゲームがかなり動くが、大柄な割にバッテリーが持たない」という欠点がある。ゲームを本気でプレイすると、2、3時間でバッテリーが切れる。
だが、文書作成レベルなら別だ。実はこの原稿、基本的な作業をすべてNreal Air+AYANEOで行っているのだが、2時間ほど作業を続けた段階で、バッテリーは20%くらいしか減っていない。そもそも負荷が低い上に、電力を大量に消費するディスプレイが点灯していないからだろう。これはなかなか実用的だ。
シースルーディスプレイだからダークモードが生きる
もう1つ重要な設定変更として、「画面をダークモードにしておく」ということがある。
Nreal Airは黒を「透明」として扱う。シースルーを実現するために必要なことなのだが、ということは、ダークモードにすると「黒で表現される部分は背景が透けてみえる」ことになるのだ。以下の写真は、Nreal Airから見える映像を、スマホのカメラで接写したもの。なんとなくイメージがつかめるのではないだろうか。
さらに、文書作成でもダークモードにすると、文字だけが空中に表示されているような感じになる。実景と合成して再現するとこんな感じになる。手元にある飲み物などは楽に持てるし、机の上はシンプル。しかも、自分の視線の方向に編集中の画面が見えるので、首を下に向けず、正面を見て作業ができる。
この軽さのHMDであるならば、「机の上に固定された四角い画面」でなくても十分に仕事ができることは、よく分かった。ノートPCの「ディスプレイ部がないもの」があってそれと組み合わせることができればベストであったように思う。
もちろん欠点はある。
Nreal Airをディスプレイとして使った場合、「視野の中央に映像の表示位置は固定」なので、首を傾けても映像がついてきてしまう……というのが最大の課題だ。スマホと連携しない限りシンプルなディスプレイなので、どうしてもそうなってしまうのだ。
将来のデバイスでは、同じようなことをしたときに「リアルな風景の特定の場所に画面を固定する」ような使い方ができれば……とは思う。いわゆるAR機器ではなく、PCとの連携を強化して、「リアルな空間をディスプレイとして使う専用機器」があったとすれば、それはそれで実用的なのではないか、と確信している。
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