記録的な円安でも「iPhone 14」は売れるのか(3/3 ページ)
iPhone 14が発表されたが、今年は円安が直撃している関係もあり、特に高く感じる。では、そんな中でも新iPhoneは売れるのだろうか? アップルはどう考えてるのか? ハンズオンで新製品をチェックしながら、空気感を含めて考えてみた。
Apple Watchとの「セット」にヒントあり
ではその背景にあるのはなにか?
それは、今回の発表が「Apple Watchとセット」であったことにヒントがありそうだ。
アップルはApple Watchを「ヘルスケア」「安全」をターゲットとしてアピールしている。今年の発表でも、自動車事故を想定した「衝突事故検出」が発表され、Apple WatchとiPhone 14の両方に搭載された。
iPhone 14に搭載される「衛星通信での緊急通報」も、まず今年11月から、アメリカとカナダで展開することになっている。
これらの「万が一に備える機能」は、多くの人が使うことなく次のスマホに買い替えることになる。だが、誰の身にも起こる可能性のある出来事でもある。ハードとサービスを一体化し、独自要素としてアップルがアピールを続けるなら、その要素によってiPhone以外に乗り換えない、という人も出てくるだろう。Apple WatchはiPhone以外で使えないわけで、その点も重要だ。
アメリカでも重視される「割引」 日本はこのままでいいのか
とはいうものの、「万が一に備える機能」よりも値段、という人はいるはず。衛星通信のように、機能自体がまだ日本では使えないものだとその分魅力は薄れる。
ここでもう1つポイントになるのが「割引」だ。
日本よりも景気がいいアメリカといえど、高価なiPhoneをバンバン買える人ばかりではない。下取りによる割引や、携帯電話事業者の通信プランと紐づいた割引など、できるだけ安く買うための仕組みと組み合わせて買う方法を、アップル自身が積極的にアピールしている。
日本でも、携帯電話事業者やアップルによる下取りを使って割り引く方法が提示されている。しかし、携帯電話料金と端末料金を分離する政策により、日本での割引額は限定的だ。
日本の場合、円安も含め「高いスマホを安く買う方法」に制限があるところが、iPhoneのみならず、ハイエンドスマートフォンにとっての大きなブレーキと言える。販売方法については今年も大きな変更はなさそうなので、円安の直撃を受ける分「今年の販売は厳しい」と言えるだろう。
どんな端末もゼロ円で買えたり、大量のキャッシュバックがあったりする時代に戻るべきだとは言わないが、「端末販売も使って、携帯電話事業者が競争できる」水準の制度変更をすべきではないか、と考えてしまう。
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