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どうなる? イーロン・マスクという“ツイ廃”が導く混沌のTwitter(1/2 ページ)

現在、イーロン・マスク氏によるTwitterの改革が進められている。一体彼はなにをしようとしているのか? そして、Twitterはどうなろうとしているのだろうか? 少しその辺を考えてみよう。

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 現在、イーロン・マスク氏によるTwitterの改革が進められている。CEO就任直後に旧経営陣のほとんどと、約3700名の社員を解雇し、有料プラン「Twitter Blue」の価格を8ドルに改定し、「認証バッジ」の意味合いも変えた。


米サンフランシスコのTwitter本社(11月6日に筆者撮影)

 では、彼はなにをしようとしているのか? そして、Twitterはどうなろうとしているのだろうか? 少しその辺を考えてみよう。

マスク氏という「ツイ廃」が導く混沌のTwitter

 正直な話をすると、イーロン・マスク氏が本当のところなにを考えていて、Twitterをどのような存在にしようとしているのか、分からない。「そんな無責任な」と言われそうだが、分からないものを無理に「分かった」とするのは間違いなので、素直に「分からない」としておく。

 現在のTwitterは混沌(こんとん)としている。大手企業が広告出稿を停止したのは、その混沌さを嫌ったからに他ならない。「分からない」「混沌としている」という状況は、本質的にはあまり好まれないものだ。

 では、マスク氏が現在の混沌を目指していたのかどうか? これは「おそらく」という留保付きだが、狙っていた部分があるだろうと思う。

 ただし、それまでのTwitterが澄んだ水のような状況だったか、というとそんなことはない。むしろ「非常に不透明」であり、マスク氏はその不透明さを嫌っていた。だから、あえてTwitterを揺さぶり、かき回して、あえて混沌とした状態を作り出した上で、不要なものやよくないものを沈殿させ、彼が住みやすいTwitterを作ろうとしているのかもしれない、とは思う。ご存じのように彼は、世界有数の「ツイ廃」だからだ。

買収前からTwitterは「不透明」だった

 買収前のTwitterがどう不透明だったのか?

 誤解されると困るのだが、別に「偏向していた」「不公正な取引が横行していた」ということではない。基準が曖昧だったのが問題なのだ。だから「濁っていた」のではなく「不透明だった」と書いたのである。

 例えばツイート表示の仕組み。

 Twitterは「ホーム」表示にしておくと、同社のおすすめツイートが順に表示されるようになっている。多くの人はこの設定になっているのではないだろうか。時系列に沿っているわけでもなく、フォローしたツイートが全部出てくるわけでもない。いろいろな話題が出てくる=ツイートの話題量が最大化するようになっている、といわれていたものの、どういうルールでそうなっていたかを正確に把握している人は皆無だ。

 それを嫌い、筆者は時系列でツイートを並べる「最新ツイート」設定に変えていた。

 マスク氏がCEOになり、レイオフが行われると、「ツイートの内容が変わった」という人々が出始めた。「ホーム」表示でのツイート選別、いわゆる「キュレーション」に関わる人が減り、機械的な選別だけになったからだろう、といわれている。一方、本当にかわったのか、どこが変わったのかはよく分からない。事実「最新ツイート」設定にしていた筆者には、ほとんど何も変化がないように思える。

 また、「Twitterは『表に出さずに特定のツイートを消している』と主張する人もいる。俗に「シャドウバン」と呼ばれるものだが、これも「なくなった」「表示されるようになった」という人がいる。

 正直なところ、これもちゃんと証明された話ではない。見えないツイートがあったかもしれないが、それが本当に「シャドウバン」だったのかも、もはや分からない。優先度設定によるものかもしれないし、年齢制限によるコンテンツの扱いを変えた時にバグが発生し、その結果見えなかったのかもしれない。

 重要なのは確認できず、基準も示されず、よく分からない状態がTwitterには存在した、ということだ。ルールとして定められているように見えた「アカウント剥奪」も、本当の意味でどう運用されていたのかは、正確なところが分からない。

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