遅延が200分の1に NTT、次世代通信サービス「IOWN1.0」を23年3月スタート
NTTは、同社が掲げてきた次世代通信構想「IOWN」の初代サービス「IOWN1.0」を2023年3月に始める。第1段として光通信技術を活用した「APNサービス」を提供。既存の光回線に比べて、遅延を200分の1に抑えた。
NTTは11月15日、同社が掲げてきた次世代通信構想「IOWN」(アイオン、Innovative Optical and Wireless Network)の最初のサービス「IOWN1.0」を2023年3月に始めると発表した。第1弾として光通信技術を活用した「APNサービス」を提供。既存の光回線に比べて、遅延を200分の1に抑える。
APNサービスは2つの拠点を専用線でつなぐ法人向け通信サービス。料金は案件の内容などで個別に設定する。遅延は既存の光回線の200分の1。条件によるが、120km離れた拠点間の通信における遅延は1ミリ秒(1/1000秒)という。1マイクロ秒(1/1000ミリ秒)単位の遅延調整機能も備える。
NTTの島田明社長は発表会で「これだけ低遅延化するのはかなりエポックメイキングなこと。(活用法については)『こういうところで使えないか』といったお客さまからのリクエストも期待している」と話した。
通信容量は既存の光回線の1.2倍。大容量化は今後も続け、30年度には125倍を目指すとしている。サービスはNTT東日本、NTT西日本が提供する。
利用シーンとしては、遠隔医療やスマートファクトリー、eスポーツ、データセンター間接続などを想定。eスポーツ分野の実験では上級ゲーマーが“ラグ”を感じる16.7ミリ秒をAPNサービスの遅延が下回るとしている。データセンター間接続では、複数のデータセンターをほぼ遅延なく接続することで1つの拠点を使っているかのような運用もできるという。
今後は25年度にIOWN2.0、29年度にIOWN3.0、30年度にIOWN4.0を発表予定。低遅延化は技術的に目標値を達成しているため、今後はさらなる大容量化と電力効率の向上を進める。
APNサービスを支えるNTTの「光電融合技術」も進化を続ける。NTTは伝送装置から半導体までフォトニックベースの技術を導入し、電力消費効率の向上などを図る考え。IOWN1.0ではネットワーク機器に同技術を導入するが、今後はボード間、チップ間、チップ内の配線などに適用させていくとしている。
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