東北電力は11月24日、家庭向けの規制電気料金について、2023年4月から平均で32.94%値上げすることを経済産業省に申請したと発表した。燃料価格が高騰しており、2年連続の純損失となる見通しで、このままでは電力の安定供給に影響を及ぼしかねないため。
電気料金には燃料調整費制度が設けられており、燃料代の高騰はこの制度で電気料金に転嫁される仕組みになっている。燃料調整費制度には上限設定があるが、商業工業などに利用される高圧電気料金や、低圧でも自由料金プランについては、11月に上限設定を廃止していた。
一方で、家庭などの低圧電力のうち利用者の77.1%が利用する規制プラン(従量電灯Bなど)では、継続して燃料調整費額に上限が設けられている。そのため、燃料価格高騰分を東北電力が負担する状況が続き、部門ごとの収支においても最終損益が550億円程度の赤字に転落する見通しだという。
料金値上げは、代表的な規制プランである従量電灯Bにおいて、基本料金を10アンペアあたり55円値上げするほか、利用量に応じた従量料金もkWhあたり9.74〜10.14円値上げする。一般的な家庭の例として挙げた、従量電灯B、契約電流30アンペア、月間260kWhの電力使用の場合、現行から31.72%増、2717円値上げの1万1282円となる見込みだ。
また、23年4月には電気を届けるための送配電設備の利用料金にあたる「託送料金」も見直される予定。これは上記値上げ金額には含んでおらず、「託送料金」の影響額を含めると、35.39%の値上げとなり、月額1万1596円(値上げ額3031円)となる見込みだ。
東京、北陸、中国、四国、沖縄の5電力会社も規制料金を値上げする方針で、近く経済産業省に申請するもよう。
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