オンライン試験って不正し放題じゃないの? 英語技能試験のDuolingoに聞く対策法 技術でむしろ厳密に(2/2 ページ)
PCを使ってオンラインで試験を受ける「CBT」。自宅で一人で受けられるのなら不正もし放題なのではないかと思うかもしれない。英語技能試験を実施するDuolingoに具体的な不正対策を聞いた。
専用デスクトップアプリがネット利用を制限 他アプリも検知
これらは不正があった後を想定したパッシブな対策だ。そもそも初めから不正できないようにするアクティブな対策も用意している。DETは一般流通しているWebブラウザ上ではなく、専用デスクトップアプリを立ち上げて受験する。
この専用デスクトップアプリを立ち上げている間はWebブラウザをロックできるようになっている。他に開いているアプリケーションも検知可能。
紙の辞書を開けばカメラで検知し、オンライン辞書を開けばアプリで検知する。オフライン試験で例えれば、カバンやスマートフォンを取り上げた上で、不正検知ロボットと複数の試験官が監視する中、1人で受験させる──といった状況だ。
これらの他に、ID認証により、替え玉受験や1人の受験者が複数の名前で何度も受験する行為なども規制できる。
試験問題が流出しない 個別最適化がセキュリティ対策にも
試験における不正には、受験中のカンニング以外にも試験問題の不正取得がある。事前に問題を盗み出し、正解を把握したうえで受験すれば高得点が採れてしまう。
しかし、DETには“事前に定められた試験問題”が存在しない。試験が始まると、受験者に合わせて個別最適化した問題がその場で組み上げられる仕組みになっている。
「この問題は解ける? 解けるならこの問題は? それが解けないなら英語力はその中間か……」というように問題の難易度を打ち分けながら、受験者の言語力を細かく測定していく。
Duolingo社は1万以上の問題を収録したデータベースを持っており、これを盗めば事前に正解を用意することも可能だ。
「よく私たちが冗談としていうのが、1万問も覚えられるなら英語力は十分あるよねと」(ワンさん)
もちろん、データベースを守るための情報セキュリティ対策は採っている。一般的な企業と同様、不正アクセスやハッキングを防げるよう各国のデータ保護規則にのっとった措置を講じているとしている。
大学受験にも使える資格試験では受験者の能力を正確かつ平等に測定する必要がある。CBTにおいてはAIをはじめとするテクノロジーを活用して不正を防いでいる。
「オンラインだからといってクオリティーを犠牲にはしません。CBTを受けたことがないからと不安になることなく、そのメリットを知ってほしいです」(ワンさん)
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