“食器ペロペロ”など相次ぐ不衛生動画、注意すべき「炎上を悪用する者」の存在:小寺信良のIT大作戦(3/3 ページ)
1月下旬から、外食産業にて不衛生な行為を行なった動画がネット上で拡散され、連続炎上状態となっている。これまでの炎上と違うのが、炎上を意図的に利用する人物の存在が見えるようになったことだ。
正義の怒りが炎上で稼ぐヤツの“養分”にならないために
このように今回の炎上事件は、視点・論点がいくつもあるにもかかわらず、行為者に多額の請求をせよといった論調ばかりが目立っており、事態の収拾には程遠い。それぞれを分解して、対応を検討する必要がある。
まず1つ目、「汚いことするんじゃないよバカ」という教育は、基本的には保護者のしつけに責任がある。今回の件は子供たちの耳にも入っているようなので、保護者の皆さんはこれを機に今一度しっかり、「食いもんで遊ぶな」「誰かに利用されるな」というお話しをきちんとするべきであろう。
2つ目、「調子に乗ってネットに上げてんじゃないよバカ」という教育は、ネットリテラシーの部類である。これも本来なら家庭でしっかり教育すべきところだが、保護者にネットリテラシーがないケースも多く、今は小中学校教育が頑張っている。ただ学校教育には常に、「オマエが一番話聞いてないとダメじゃんというヤツに限って話聞いてない」という課題が解決していない。
3つ目、「炎上で食うメシはうまいか?」という問題は、それ自体に違法性がないことから、法的に縛るのは難しい。ただ青少年のやらかしをネタにして大人がもうけるという構図は、倫理としてどうなのかというところである。そもそもそういうものに広告収入が付くというところから考えていかなければならない問題で、これはモラルとは別にコマースの話として議論していくべきだろう。
4つ目、「空売り用の“弾”として炎上動画をストックして打つヤツがいる」という問題は、本当にそういう事実があるならそれはもう犯罪の領域に入るので、個人で動くべきではなく、公的組織の調査対象とすべきだろう。これは外食産業への脅威というだけでなく、株式市場の信頼にも関わる大きな問題である。
そして皆さんにお願いしたいのは、皆さんの正義の怒りが、炎上でもうけるヤツの「養分」になっているという認識を持って欲しいという事である。もし不適切動画を発見しても、炎上に加担せずそっと該当飲食チェーンなどの公式連絡先へ通報するなり、お店の人に直接伝えるなどして、ローカルで速やかに処理できるように取り計らって欲しい。
炎上させても、世の中全体にプラスになることはない。ちゃんとした大人の冷静な対応をお願いする。
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