「ゆっくり実況」などの商標出願に拒絶通知 ドワンゴが「誰も登録できないと明らかにする」と出願
特許庁が、ドワンゴによる「ゆっくり実況」などの文字商標登録を拒絶した。同社は「ゆっくり茶番劇」騒動を巡り「誰も商標登録できないことが明らかにする」としてゆっくり実況などを商標出願していた。
特許庁は2月7日、ドワンゴによる「ゆっくり実況」「ゆっくり解説」「ゆっくり劇場」の文字商標登録を拒絶した。ドワンゴは「ゆっくり茶番劇」が第三者に商標登録された騒動を巡り、「ネット動画のジャンル・カテゴリーを表す表示として一般的に使用されていることを理由に特許庁が商標登録を拒絶すれば、誰も商標登録できないことが明らかになる」として、2022年5月にこれら3つの商標を出願していた。
特許庁は拒絶の理由について、ゆっくり実況ではITmedia NEWSや「ピクシブ百科事典」の記事、YouTubeの動画などを根拠に「ゆっくり実況の文字は広く使用されており、多数の者により動画が作成・配信されており、多数の者により動画が作成・配信されている実情も見受けられる」と説明。
これにより「本願商標をその指定商品・役務に使用しても、これに接する需要者等は、当該商品・役務が『ゆっくりしていってね!!!』や『ゆっくり』と称されるイラストや、日本語音声合成ソフトから生成された音声が用いられている、ゲーム等の様子を実況する動画であることを表したものと認識するにとどまるものとみるのが相当であって、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ない」として、出願を拒絶した。ゆっくり解説やゆっくり実況も同様の理由だった。
ゆっくり茶番劇の騒動を巡っては、動画投稿者の柚葉さんが「ゆっくり茶番劇」の商標権取得を発表。ドワンゴは事態を受け、商標権の放棄を交渉すると発表した。結果、柚葉さんは商標権抹消登録申請書を提出し、特許庁が受理。一方、ドワンゴはゆっくり実況などを商標出願した他、ゆっくり茶番劇の商標登録に対し無効審判請求を行うと発表していた。
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