スマホ販売の約15%で“極端な廉売”横行 背景にキャリアの「代理店評価制度」 公取委調査
公正取引委員会が、スマートフォンの「1円販売」のような極端な廉売が調査した取引の約15%で行われていたとの調査結果を発表した。NOから販売代理店に課された目標設定が問題の背景にあるとしている。
公正取引委員会は2月24日、スマートフォンの「1円販売」のような極端な廉売が調査した取引の約15%で行われていたとの調査結果を発表した。携帯キャリア(MNO)から販売代理店に課された目標設定が問題の背景にあるとしている。
調査期間は2022年1月1日から6月30日。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルのMNO4社と代理店など契約300社を対象とした。MNOが代理店に販売したスマホのうち、販売台数上位40機種(iPhone20機種、Androidスマホ20機種)の販売状況を調べた。極端な廉価販売とは、消費者の負担額が1000円以下になる販売のこと。
極端な廉価販売を行ったことがある代理店233社において、廉価販売されたスマホの台数は14.9%だった。OS別ではAndroid搭載スマホで19.9%、iPhoneで11.9%。価格帯別では4万円未満の機種で30.4%と特に多く、10万円以上の機種では1.6%にとどまった。
公正取引委員会は、MNOが通信プランの販売なども手掛ける代理店に対してスマホを廉売する場合、家電量販店などスマホ本体の単体販売をする事業者の事業活動を困難にする可能性があると評価。是正するのが望ましいとしている。
代理店が極端な廉価販売を行う理由としては、「MNOから実施するよう指示されたため」「MNOから課せられたMNP転入者の獲得目標を達成するため」などが挙げられた。スマホやアクセサリーは利益率が悪く、代理店にとって利益の源泉はMNOからの評価を基に算定される支払金という。
スマホの販売価格を巡っては、総務省がMNOによる利用者囲い込みを抑制するため、割引額の上限設定やSIMロックの原則禁止などの対策を実施している。
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