自動運転には「LLM」が必須? 国内AIベンチャーが“目や耳”を持った大規模言語モデルを開発へ
自動運転車の開発・販売に取り組むTuringは3月20日、大規模言語モデル(LLM)を独自開発すると発表した。同社はLLMを開発する理由として「完全自動運転を実現するため」としている。
自動運転車の開発・販売に取り組むTuringは3月20日、大規模言語モデル(LLM)を独自開発すると発表した。同社はLLMを開発する理由として「完全自動運転を実現するため」としている。
開発するLLMの姿として、状況に応じた適切な判断と行動が行えるよう、視覚情報や音声データなどの現実世界の情報を取り込み、理解する能力を持ったマルチモーダルAIを目指すという。一方で、瞬時に判断するリアルタイム性をを持たせるため、モデルの圧縮や車載ハードウェアへの最適化が必要とする。
これに加え、外部環境やシステムへの攻撃に対する堅牢性や、予期しない状況に適切に対応できるよう、敵対的攻撃に対する耐性を持つモデルの設計や、不確実性に対処するための推論技術の確立を目指す。
同社は、完全自動運転について「人間と同等以上にこの世界を理解した自動運転AIが必要」としており、生成系AIやChatGPTなどLLMの本質は「言語を通じて極めて高いレベルでこの世界を認知・理解している」ことと指摘。自動運転AIに「人間と同等以上にこの世界を理解させる」ためにLLMのアプローチが有効と説明する。
Turingは、世界で初めて名人を倒した将棋AI「Ponanza」の開発者である山本一成氏と、カーネギーメロン大学で自動運転を研究し、博士号を取得した青木俊介氏が2021年に共同創業したスタートアップ。AI深層学習技術を用いた、限定領域に留まらない完全自動運転車の開発と量産、販売を目指している。
今後、LLMの研究や技術開発を主体的に進め、自動運転のためのAI技術を継続的に発展させていく予定としている。
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