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テスラ超長距離旅で分かった、“日本式”充電インフラの弱点 他のEVには致命的かも走るガジェット「Tesla」に乗ってます(2/4 ページ)

昨年の11月末、Model 3で横浜から長崎の往復3000kmの旅をしてきました。前編では、長崎までの往路の様子をお伝えしました。本稿では、旅の主目的である、潜伏キリシタンゆかりの地巡りや復路におけるModel 3の運行状況を充電を中心にお伝えします。

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Teslaの充電器が故障中で予定が狂う

 平戸島への小旅行では、Tesla専用のディスティネーションチャージャーで想定外の事態に遭遇しました。故障して使えませんでした。この日の最後に立ち寄った、松浦史料博物館には、Tesla専用の充電器が設置されており、施設利用者であれば無料で充電できます。ここで充電しなくても、計画上は長崎のホテルまで十数%残で無充電で帰ることができるのですが、無料ということもあり安心感を得るために、ここでの充電を予定していました。

 しかし、いざ到着してみると、故障中の張り紙があります。資料館の受付で問い合わせると「テスラにお願いしているのに、全然、修理に来てくれない。あなたからも伝えてください」と困惑した様子でした。


テスラの充電案内サイトには故障中の表示なし。23年1月16日現在も故障中のまま。Tesla Motors Japanの早急な対応を請う

 平戸市の公共の充電環境は、お世辞にも良いとはいえません。20〜30kWのCHAdeMO充電施設が数カ所あるだけです。そのような状況下におけるディスティネーションチャージャーは、Teslaユーザーにはありがたい存在です。最大10kWとはいえ、施設に1時間程度滞在すれば、少なくとも約60km分は充電可能です。

 スーパーチャージャーであれば、Model 3のスクリーンや専用アプリで充電ストールの空きや運用状況をリアルタイムで確認できますが、ディスティネーションチャージャーはそれができません。今後、施設に直接確認するようにしたいと思います。

 Teslaに限らず、公共のCHAdeMOの充電設備などでも、いざ現地に到着すると故障中だったり、運用そのものを停止している事例も出はじめているそうです。当てにしていた充電設備が使えないとなると電欠の危険性に直面します。旅の充電計画を練る際には、充電スタンド情報を提供するサイトや現地に直接確認するなど事前の情報収集が必要です。

アプリでSAの充電器の空き状況を確認

 楽しかった長崎観光も終わり岡山の実家に立ち寄った後、横浜に帰ります。午前8時頃にホテルを充電量100%で出発します。約590km先の実家には午後5時までに到着する約束をしています。復路は公共充電環境の検証を行なう目的で高速道路のSAの充電器だけを利用すると決めていました。あえてスーパーチャージャーは利用しません。

 九州縦貫自動車道の古賀SAで30分のトイレ休憩の後、山陽自動車道の山口県内のSAで昼食を取る予定です。そのときに充電も済ませます。助手席の妻に「高速充電ナビ」というアプリでSAの充電器の空き状況を確認してもらいます。午後12時を過ぎたあたりで、少し先の下松SAの充電器が空いていたので、ここで充電と昼食を取ることにしました。


全国のSA/PAの充電器の空き状況や充電開始時間を確認することができる。下松SAで12時30分から充電を開始した筆者の情報が反映されている

 下松SAの充電器は出力40kWですが、平均35kWで30分間充電し33%から53%まで回復しました。充電量は約17kWh(約120km分)でした。公共の充電器は1セッション30分上限のルールがあります。他のEVがいなければ、おかわり充電を行っても良いと思いますが、このときは、終了間際に日産リーフがやってきたので、場所を空けました。

 高速道路のSAにおける充電30分制限は、実に中途半端な長さに感じます。我が家の場合、食事をゆっくり取って休息や、場合によっては仮眠を含めると大抵1時間は滞在します。30分経過後にクルマに戻って一般の駐車区画に移動させれば問題ないのでしょうが、この下松SAの充電器は、SAの出口付近に設置されています。一般区画に移動するためには、逆走しなければなりません。さすがにそのような危険行為は、はばかられます。食事を30分で済ませ出発しました。


トイレや食事の施設から遠いガソリンスタンド手前に設置された下松SAのCHAdeMO充電器。CHAdeMO非対応のTeslaは、専用アダプターを接続して利用する

 NEXCOでもSA/PAの充電器の設置場所について問題意識を持っているようで、新東名や新名神高速道といった新しい道路上の施設では、入口付近に充電器を設置し、充電終了後には一般の区画に移動可能なよう設計されています。

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