金曜ドラマで“本物”のハッキングシーン 手口もコマンドも専門家が監修した「トリリオンゲーム」
TBS金曜ドラマ「トリリオンゲーム」ではハッキングシーンや情報セキュリティ大会の様子が描写される。その内容は情報セキュリティ事業者リチェルカセキュリティが協力した“本物”のハッキングシーンだった。
情報セキュリティ事業者のリチェルカセキュリティ(東京都文京区)は7月14日、TBS金曜ドラマ「トリリオンゲーム」に登場するハッキングシーン作成の舞台裏を公開した。このシーンは現実的に可能なハッキングシナリオをベースに作ってあるという。
トリリオンゲームは主人公の2人が1兆ドル獲得を目指して起業するストーリー。第1話では主人公が防犯カメラをハッキングする他、資金集めのために世界トップレベルのハッカーが集まる大会「セキュリティチャンピオンシップ」に参加する。
技術監修はFlatt Security(東京都文京区)が担当し、リチェルカセキュリティは技術協力で参加。設定や脚本、演出の監修はFlatt Security、ハッキングの詳細な手口やセキュリティチャンピオンシップの問題、撮影で使うソフトウェアなどはリチェルカセキュリティが実際に考案・開発した。
主人公が防犯カメラをハッキングするシーンの撮影では、実際に脆弱な防犯カメラシステムを再現して侵入シナリオを作成。ドラマでは詳細に解説されないが、収集したWi-Fiパケットを使ってネットワークに侵入し、防犯カメラの管理ページに侵入する一連の操作を実際に構築している。
主人公がタイピングするシーンでは、ハッカーの目線の動かし方やタイピング方法の指導もしたという。
セキュリティチャンピオンシップは実在する競技「キャプチャーザフラッグ」(CTF)をモデルにしたもの。これは情報セキュリティの知識と技術を基にクイズの答え(フラッグ)を奪い合う競技。リチェルカセキュリティにはCTF世界大会の入賞やCTF日本大会の運営に参加するメンバーがおり、ドラマ用に問題を作成した。
画面に映るホワイトボードの内容やせりふもつじつまが合うようになっているという。本戦では敵チームを攻撃しながらフラッグを奪い合うが、小道具であるPCには実際に使うツールを表示してある。敵チームのサーバを操作するツールはリチェルカセキュリティのエンジニアがゼロから開発。表示されるコマンドも全て現実の攻撃で使用されるものになっている。
ドラマの内容は現実に即したものだが、実際に実行すると不正アクセス禁止法などに抵触する可能性もあるため、同社はプログラムを悪用しないよう呼び掛けている。その上で「スリリングな展開はもちろんのこと、リアルなハッキングシーンを楽しんでいただけたら幸いです」としている。
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