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AIチャットbotのPKSHA、14億円の特損 原因は「信託型SO」

AIチャットbotなどを提供するPKSHA Technology(パークシャテクノロジー)が、2023年9月期第3四半期(4〜6月)に14億6654万4000円の特別損失を計上したと発表した。原因は「信託型ストックオプション」(信託型SO)だ。

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 AIチャットbotなどを提供するPKSHA Technology(パークシャテクノロジー)は8月14日、2023年9月期第3四半期(4〜6月)に14億6654万4000円の特別損失を計上したと発表した。原因は「信託型ストックオプション」(信託型SO)だ。

 ストックオプションとは「新株予約権」の一種で、経営陣や従業員が一定期間、かつ一定価格で株式を購入できる権利を指す。スタートアップなどで提供されることが多く、上場後にあらかじめ決められた価格で株式を取得し、市場で売却することで利益を得られる。信託型SOはこの一種で、SOの発行時に信託会社を通すことで従業員への割り当て調整などが柔軟になるなど、インセンティブ設計をしやすい特徴があった。

 ストックオプションには、税制適格のものと税制非適格のものがある。前者であれば、SOを使って株取得の権利を行使した際の課税がなく、株式売却額の20%のみ課税対象となるが、後者の場合、株式取得の権利行使を給与所得とみなし、売却時とは別に最大55%の課税対象となる。これまで信託型SOは税制適格と考えられ、節税対策となることもあって、さまざまなスタートアップが導入してきた。

 しかし、5月に国税庁が信託型SOに対する見解を発表。税制適格には該当しないとして、株式取得に対しても課税の対象になると定めた。これにより、すでにSOから株式を取得した当事者も、過去にさかのぼって追加納税する必要が出てきている。PKSHA Technologyの特別損失も、その一環で計上したものだ。

参考:ベンチャー財務やSaaS経営者に衝撃 税処理ひっくり返った「信託型SO」とは何か? 専門家に聞く

 ただしPKSHA Technologyは社員への取り立てについて「追加的な負担が生じない範囲で、求償権の一部を放棄する判断をした」といい、全額の回収はしないとみられる。信託型SOを巡っては他のスタートアップでも同様の対応が見られ、例えばSansanも約5億円を自社で負担している。

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同社による説明

 同社は今回の特別損失について「一過性のものであり、当社グループの本質的な事業成長に影響を与えるものではない」としている。同日に発表した2023年9月期第3四半期累計の連結決算は、売上高が101億3900万円(前年同期比18.6%増)、営業利益が12億8300万円(同5.6%)だったが、特損の影響で純損失が5億2600万円(前年は7億5700万円の黒字)だった。

 ただし同日には、AIを活用したSaaS事業において各種プロダクトの販売が拡大したとして2023年9月期第3四半期の連結業績予想の修正も発表。売上高の予想を135億円から136億円に、営業利益を16億5000万円から17億円に修正した。

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