初音ミク(16)、16周年を迎える 誇張なく世界を変えた歌姫のこれまで(3/3 ページ)
歌声合成ソフト「VOCALOID」用音声ライブラリ「初音ミク」が発売16周年を迎えた。“歌う機械”ひいてはDTMの歴史を変えたといって本当に過言ではない彼女について、その歴史を振り返ってみる。
今の音楽シーン、ボカロP強すぎ
そうして世界的に進出していった初音ミクだが、ボカロPも負けていない。メジャーシーンで大活躍しているアーティストの中にはたくさんのボカロPがいる。
ボカロP出身の人もいれば、もともと音楽業界にいた人もいる。今を時めく米津玄師さんは「ハチ」名義でボカロPをしていたし、歌手のAdoさんの楽曲を手掛ける作曲家もボカロPとして活動している人が多い。音楽グループ「YOASOBI」のAyaseさんもそう。紅白でも歌われた「命に嫌われている。」もボカロPでもあるカンザキイオリさんが手がけている。アニメソングの作曲者を見てみたらボカロPだったということも普通にある。
ボカロファンとしてはVOCALOIDの歌唱でメジャーシーンを席巻してほしい気持ちも大いにあるが、TikTokなどでは当たり前のようにボカロ曲が“バズって”いる。CMソングにもなっている。そう考えればかなり進出しているといって差し支えないだろう。
AIの進撃が進んでもなお初音ミク
近年ではAIを活用して人間らしく歌う歌声合成ソフトがかなり力をつけてきている。今では「可不」というキャラクターがよく使われている。細かいことをいえばこれは「CeVIO AI」というブランドの歌声合成ソフトなのだが、難しいところはいったん置いておこう。
生成AI分野は音楽業界に限らず今まさに大流行中で、実際AI系ソフトの利用率も確実に増加している。それでもなおミクを採用した動画は圧倒的に多い。
よくいわれるのは「VOCALOIDは電子ピアノのようなもの」だ。ミクにはミク特有の味がある。たとえ生ピアノが使える状況でも表現のために電子ピアノを使うことがあるように、たとえ人間や人間らしいAIが使えてもミクを選ぶことがある。
おそらく今後もAIの進撃は続いていくだろうが、ミクは今後も求められ続けるだろう。16年目を迎えたミクは今後、どのように歩みを進めていくのか楽しみだ。
なお、クリプトン・フューチャー・メディアの佐々木渉さんによれば、今日8月31日の夕方にはまた「大きな企画」を発表するとしている。
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