AirPodsで脳信号を記録──イヤフォンに貼るセンサーを米研究者らが開発 ストレスや集中度を監視:Innovative Tech
米カリフォルニア大学サンディエゴ校に所属する研究者らは、脳活動と運動レベルをイヤフォンで連続的に記録するための柔軟なスクリーン印刷センサーに関する研究報告を発表した。
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このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
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米カリフォルニア大学サンディエゴ校に所属する研究者らが発表した論文「In-ear integrated sensor array for the continuous monitoring of brain activity and of lactate in sweat」は、脳活動と運動レベルをイヤフォンで連続的に記録するための柔軟なスクリーン印刷センサーに関する研究報告である。スクリーン印刷された柔軟なセンサーで記録される脳波(EEG)信号と汗中の乳酸データは、健康モニタリングや神経変性疾患の診断に活用可能である。
耳の中から非侵襲的にEEG信号を取得するアプローチは、これまでにもいくつか報告されている。最近では、耳の中にほとんど見えないように押し込んで使用する、らせん状の脳波計測器が紹介された。
(関連記事:耳の穴に入れる、らせん状の脳波計測器 脳とコンピュータを接続 中国の研究者らが開発)
今回は市民権を得てきたワイヤレスイヤフォンを活用し、日常生活を邪魔することなくより自然に脳波を取得する新しいアプローチを提案する。研究者たちは、イヤフォンに取り付けられるスクリーン印刷式の電子回路を開発。この柔軟なセンサーは、EEG信号を収集するだけでなく、汗からの乳酸も感知することができる。
センサーはイヤフォンと連携し、収集したデータをワイヤレスでスマートフォンやラップトップに転送する。そこでデータの視覚化や詳しい分析が可能となり、これにより長期的な健康モニタリングや神経変性疾患の早期検出に役立てられる。
脳の電気活動を示すEEGと、運動や日常の代謝過程で生成される乳酸という有機酸のデータを組み合わせることで、多岐にわたる利用が可能となる。例えば、てんかんのようなさまざまな発作の診断、運動中の負荷の監視、さらにはストレスや集中度のモニタリングが行える。
研究者たちは、新しく開発した柔軟なセンサーからのデータを、市販のEEGヘッドセットや乳酸を含む血液サンプルと比較検討した。その結果、この新センサーによるデータ収集も、既存の方法と同等の効果があることを確認した。
Source and Image Credits: Xu, Y., De la Paz, E., Paul, A. et al. In-ear integrated sensor array for the continuous monitoring of brain activity and of lactate in sweat. Nat. Biomed. Eng(2023). https://doi.org/10.1038/s41551-023-01095-1
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