自治体システム標準化の費用はどこが持つのか? 河野大臣「国が全額持つ」→「総務大臣が責任持つ」
政府が進める「自治体システム標準化」施策の費用を巡り、大臣の発言が注目を浴びている。
政府が進める「自治体システム標準化」施策の費用を巡り、大臣の発言が注目を浴びている──時事通信社が11月9日、自治体システム標準化について、河野太郎デジタル大臣が「移行費用は国が全部持つ」と発言したと報じた。翌10日の記者会見では、財源や予算に関する質問に対し、河野大臣が「総務大臣から、移行経費に責任を持つと聞いている」と答えた。一方、同日の鈴木淳司総務大臣の記者会見では移行経費に関する言及はなかった。
時事通信社によれば、河野大臣は東京都内で開かれた全国市議会議長会の理事会・評議員会合同会議の場で経費に関する方針を述べたという。10日の会見では、記者から「現状、7000億円程度の補助金を確保しているのは認識しているが、この額で移行費用を全部持つことは可能なのか、積み増すとしたら時期はどうなるのか、かつどれくらい(追加で)必要なのか」といった質問があり、河野大臣は記事冒頭のように答えた。
自治体システム標準化とは、複数の民間事業者が一定の基準に沿った業務用アプリを政府の共通クラウド基盤「ガバメントクラウド」上に開発し、自治体が状況に合わせて導入する取り組みを指す。自治体は共通化されたクラウド基盤と業務用アプリを使うことになり、既存業務の見直しが必要になる。
共通化の対象として定められている業務は住民基本台帳、国民年金、介護保険の事務など20種類。デジタル庁は共通化により、オンライン申請の普及や、自治体の人的・財政的な負担削減などを見込むとしており、原則として2025年度末の完了を求めている。
各自治体に対する補助金なども用意しているが、中には予算に問題を抱える自治体も。例えば10月には、茨城県水戸市や福島県福島市など人口20万人以上の市町村の市長からなる中核市市長会が、期限の見直しや全額国費による事業推進を求める要望を鈴木総務大臣などに提出していた。
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