装着していないVRヘッドセットが"動く対話ロボット”に 置き台ごと変形 北海道大「OMEME」開発:Innovative Tech
北海道大学のヒューマンコンピュータインタラクション研究室に所属する研究者らは、VRヘッドマウントディスプレイ(HMD)を置くと置き台ごと動くコンパニオンロボットになるシステムを提案した研究報告を発表した。
Innovative Tech:
このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
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北海道大学のヒューマンコンピュータインタラクション研究室に所属する研究者らが発表した論文「OMEME: 非装着状態の HMD を用いたコンパニオンロボットの開発」は、VRヘッドマウントディスプレイ(HMD)を置くと置き台ごと動くコンパニオンロボットになるシステムを提案した研究報告である。
HMDは基本的に頭部に装着して使用するために設計されているが、その非装着時の利用法についてはこれまであまり深く考察されてこなかった。このため、HMDの内蔵センサーやその他の計算機機能が非装着時にはほとんど活用されていないという状況にある。
この研究では、非装着時におけるHMDの新たな活用法を模索し、HMDをコンパニオンロボットとして使用することを提案している。このシステムは、HMDとそのスタンドの機能を組み合わせて動作する。主要な構成要素は、HMDの光学レンズを利用した目、HMDのマイクによる聴覚部分、HMDのスピーカーを使った話す機能、そしてHMDのコントローラーを置く部分から作られた腕の4つから構成している。
目の部分は、HMDのディスプレイの明るさを最大限にして、非装着者に情報を伝える。話す機能は、スピーカーのボリュームを最大にして音声を出力する。腕は、HMDスタンドからコントローラー置き場を取り外し、サーボモータを用いて本体に再び取り付けることで実現している。
この腕の動きは水平方向に制限され、コントローラーの重さが考慮されている。これらの部位を同期させるために、HMDとサーボモータが一つのコンピュータに接続する。
システムの実装にはMeta Quest 2が使用され、ソフトウェア部分にはArduino、Unity、Pythonを採用。また、日本語の音声合成にはVOICEVOX1エンジンを使っている。
使い方は、対話ロボットとして雑談などの会話を行う方法や、ロボットの頭部を外さずに近づいてのぞき込む閲覧方法を提案している。後者は、ロボットの頭の中をのぞくというエンターテインメントとしての使用も可能。また「僕の頭を返して」という音声により、VRの使用を適切に管理する機能として活用できる。
Source and Image Credits: 阿部 優樹, 鈴木 湧登, 坂本 大介, 小野 哲雄. OMEME: 非装着状態の HMD を用いたコンパニオンロボットの開発. WISS 2023: 第31回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ https://www.wiss.org/WISS2023/
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