自分の顔をずっと“笑顔にする”ヘルメット型プロジェクター 会話中も常にニコニコ 神戸大が開発:Innovative Tech
神戸大学の塚本・寺田研究室に所属する研究者らは、対面での会話中に表情を豊かに見せることで話し相手の印象を良くするウェアラブル表情拡張システムを提案した研究報告を発表した。
Innovative Tech:
このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
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神戸大学の塚本・寺田研究室に所属する研究者らが発表した論文「EmoCast: 顔への表情変化情報投影による話し相手の印象向上システム」は、対面での会話中に表情を豊かに見せることで話し相手の印象を良くするウェアラブル表情拡張システムを提案した研究報告である。このシステムは、動く顔に追従しながらプロジェクターで笑顔などの3Dモデルを投影して表情を拡張する。
プロトタイプは、ヘルメット型デバイスとスマートフォンで構成。ヘルメットには小型プロジェクターとカメラを取り付けている。
システムは、動く顔のパーツにリアルタイムで追従し、運動パターンを投影することで、会話時の表情を豊かに見せることを目的としている。具体的には、カメラで撮影した顔の映像をスマートフォンに送信し、顔の3Dモデル(グレースケール)を作成。この3Dモデルに事前に生成した運動パターンをマッピングし、プロジェクターで本人の顔に投影する。
この方法により、無表情の顔に特定の表情(例えば笑顔)の生成や、表情が少ない場合に表情を増強(例えば笑顔の強化)などができる。
評価実験では、提案システムを用いて顔に運動情報を付与し、動きのある顔がより動いて見えたか、会話時の印象が良くなったかを被験者に評価してもらった。その結果、システムによる投影が顔の動きを強調し、印象を良くする効果があることを示した。動画はこちら。
研究の発表後、研究チームはさらにシステムを改良。ハードウェアの外観はシンプルになり、投影内容も向上してより自然な表情生成を実現している。
今後は、より自然な映像を投影できるように映像の調整を行った上で、日常使いできるようにシステムを小型化、軽量化する予定だ。
Source and Image Credits: 浅野 恭志, 大西 鮎美, 寺田 努, 塚本 昌彦. EmoCast: 顔への表情変化情報投影による話し相手の印象向上システム. 第31回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2023)予稿集.
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