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今後どうなる? 作った電気がムダになる再エネの「出力制御」 解決策は?小寺信良のIT大作戦(2/4 ページ)

今年もまた、再エネでもめる時期が近づいて来た。2023年は、太陽光発電した電力が使い切れず、ソーラー発電事業者に無駄に電気を捨てさせるという「出力制御」が過去最高を記録したのも記憶に新しいところだ。

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島国「日本」での解決策は?

 そうした傾向をにらんで、日本では22年に電気事業法を改正し、電力系統に直接接続する「系統用蓄電池」を運営する大規模事業者も一種の発電事業と位置付け、発電同様の扱いにして発展を促すことになった。


電気事業法における蓄電池の位置付け(2024年5月「系統用蓄電池の現状と課題」資源エネルギー庁公開資料より抜粋)

 要は昼間にあまった再エネは系統用蓄電池で吸って、夜に吐き出すというバッファーを多く作れば、無駄にはならないというわけである。

 海外では、米国カリフォルニアの電力会社CAISOで、24年4月16日に史上初めて蓄電池からの放電が管内で最大の供給源になった。最大になったのは午後8時で、昼間にためた電力を吐き出した結果である。

 またミネソタ州では23年に鉄空気電池を用いたエネルギー貯蔵システムの構築を承認し、電力供給の安定化を図ろうとしている。


ミネソタ州の電力貯蔵システムの事例(24年5月「系統用蓄電池の現状と課題」資源エネルギー庁公開資料より抜粋)

 こうした巨大蓄電池導入は世界中で急速に拡がっており、特に2023年の中国の伸びはエグいことになっている。30年には23年の6倍に増加すると試算されている。


国際的なエネルギー貯蔵能力のニーズの高まり(24年5月「系統用蓄電池の現状と課題」資源エネルギー庁公開資料より抜粋)

 日本も法整備して力をいれてはいるが、23年は間に合わなかった。おそらく24年もまだ間に合わないだろう。

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