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欧州に学ぶ“放送IP化”のススメ 「放送制御システム」の限界をどう乗り越えるか小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(3/3 ページ)

放送局の基幹システム更新は5-10年周期で行われるが、IPへの移行は従来と異なる課題がある。Sony Europeが展開するEUの先行事例から、ネットワーク化やソフトウェアベースへの転換に伴う新たな要求を考察する。

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映像技術者に「明日からネットワーク技術者になれ」は無理な話

 IPに対応したブロードキャストコントローラーにはソニーの「VideoIPath」といった商品があるが、これはもともとはネットワーク管理システムだったが、3年かけて放送制御機能を追加してきたものだ。


Inter BEE 2023 IPパビリオンにて稼働中のVideoIPath

 とはいえソニー製品で固めれば問題解決というわけでもない。ソニー1社では手に負えない分野も当然多数存在しており、多くの企業の製品と連携していかなければならないわけだし、ソニー製以外のブロードキャストコントローラーを使うことも考えられる。いずれにしても、上記5つの条件は満たす必要がある。

 アナログからデジタルになったときは、ハードウェアそのものが別物になったことから、新しい機材に慣れるためのトレーニングが必要だった。画角にしても、4:3の世界から16:9の世界に慣れるまで、かなり時間がかかった。

 一方SDIからIPになる場合には、極力同じインタフェースで操作できるようにという工夫が見られる。映像技術者に、明日からネットワーク技術者になれというのは無理な話で、例えばスイッチャーのコントロールパネルはこれまでのものを使用するが、つながる先はスイッチャー本体ではなくクラウド上の仮想スイッチャーであるといった格好だ。


既存のスイッチャーパネルでクラウドスイッチャーを制御(Inter BEE 2023 ソニーブース)

 IPへの移行は、働き方や働く場所が大きく変わるが、やってることはこれまでと同じ、というゴールに向かって進んでいる。国をまたいで1つのコンテンツを作ることも可能にするというのが、国が地続きであるEU諸国の放送局の考え方の特徴だといえる。

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