「換気していない部屋では眠くなる」は科学的に正しかった――二酸化炭素と“日中の眠気”の因果関係、東北大が解明
東北大学は二酸化炭素が日中の眠気を引き起こすとする研究結果を発表した。
二酸化炭素が日中の眠気を引き起こす──東北大学は9月3日、そのような研究結果を発表した。換気の悪い屋内環境で起こる強い眠気と二酸化炭素の因果関係はこれまで不明だったが、研究チームは睡眠障害の検査手法を使って実験を実施。その結果、二酸化炭素が眠気を誘発する科学的な根拠を見つけたという。
これまで、二酸化炭素と日中の眠気の因果関係は明らかになっていなかった。その要因は眠気の測定方法にあり、従来の研究では眠気の評価方法が主観的だったという。また、客観的な指標と考えられていた「脳波の変化を調べる手法」も、眠気に関係なく二酸化炭素の影響を受けていた可能性があったとしている。
そこで今回の研究では、睡眠障害の検査に使う眠気の測定方法を採用。被験者11人には、検査1週間前から7時間以上の睡眠を取ってもらうなど準備を徹底した。さらに二酸化炭素濃度を厳密に制御できる環境を用意するなど、客観的に二酸化炭素と眠気の関係を調べられるようにした。
結果、比較的高濃度である5000ppmの二酸化炭素にさらされると、日中の眠気が有意に強くなることが判明。また主観的な眠気も有意に強くなることを示したという。
換気の悪い空間では、二酸化炭素は容易に5000ppmに達する。そのため労働環境の安全を守るための基準「事務所衛生基準規則」では5000ppm以下に抑えるよう示しているが、今回の研究結果から法令の二酸化炭素濃度基準が妥当であると明らかになった。
「二酸化炭素濃度の調節することで、職場や自動車運転時に集中しやすい眠気が起こらない環境をつくることが望める。逆に自宅や宿泊先、仮眠室などにおいて眠りやすくなる環境をつくるための客観的な根拠となることも期待できる」(研究チーム)
この研究成果は、国際科学誌「Environmental Research」に8月19日付で掲載された。
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