幼少期のタブレット使用が多いと将来“怒りっぽく”なる? 300人以上の幼児を対象に調査:Innovative Tech
カナダのシャーブルック大学などに所属する研究者らは、幼児期のタブレット使用と怒りやフラストレーション爆発の表出に関する研究報告を発表した。
Innovative Tech:
このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
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カナダのシャーブルック大学などに所属する研究者らが発表した論文「Early-Childhood Tablet Use and Outbursts of Anger」は、幼児期のタブレット使用と怒りやフラストレーション爆発の表出に関する研究報告である。
この研究は、カナダのノバスコシア州で行われ、315人の幼児を対象に3.5〜5.5歳までの期間、タブレット使用と感情調整の関係を追跡調査したものである。対象となった幼児の内訳は、保護者の報告によると54%が男児、46%が女児。調査は2020〜2022年にかけて、新型コロナウイルスによるパンデミックの期間中に実施した。
研究結果では、3.5歳時のタブレット使用量が約1日1.15時間増加すると、4.5歳時の怒りや欲求不満の表現が22%増加することが明らかになった。さらに、4.5歳時の怒りや欲求不満の傾向が約1日1.15時間増加すると、5.5歳時のタブレット使用量が22%(約1日0.28時間)増加する傾向が見られた。
これらの結果は、幼児期のタブレット使用と感情調整の間に双方向的な関係があることを示唆している。つまり、タブレットの過度な使用が怒りや欲求不満の増加につながり、それがさらにタブレット使用の増加を引き起こすという悪循環が生じる可能性がある。
Source and Image Credits: Fitzpatrick C, Pan PM, Lemieux A, Harvey E, Rocha FDA, Garon-Carrier G. Early-Childhood Tablet Use and Outbursts of Anger. JAMA Pediatr. Published online August 12, 2024. doi:10.1001/jamapediatrics.2024.2511
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