Adobe、コンテンツの生成AIトレーニング使用を拒否できる「Content Authenticity」提供へ
Adobeは、クリエイターが作品のAIによる無断使用を防ぐためのWebアプリ「Adobe Content Authenticity」を発表した。2025年第1四半期に、無料の公開β版として提供する計画だ。
米Adobeは10月8日(現地時間)、クリエイターが作品を保護し、AIによる無断使用を防ぐためのWebアプリ「Adobe Content Authenticity」を発表した。2025年第1四半期(2024年12月〜2025年2月)に、無料の公開β版として提供する計画だ。
クリエイターはこのアプリを使って、自分の作品に「Content Credential」を適用できる。
Content CredentialはAdobeも運営委員を務めるデジタルコンテンツの来歴証明技術の標準化団体C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)による、コンテンツが作成・変更された方法と時期を示すメタデータ。クリエイターの名前、Webサイト、ソーシャルメディアアカウントなどの情報を含められ、画像、オーディオ、動画など、さまざまな種類のデジタル作品に対応する。
また、Webアプリの「Generative AI Training and Usage Preference」(生成AIのトレーニングと使用の設定)を使うことで、自分のコンテンツが生成AIモデルに使われたり、トレーニングに使われたりしたくないことを、Contents Credentialで明示できる。
Adobe Content Authenticityで適用されるContent Credentialでは、デジタルフィンガープリント、不可視の電子透かし、暗号化署名されたメタデータの組み合わせにより、たとえスクリーンショットが撮られても、コンテンツに安全に紐づけられたままになるので、改ざんされることなく検証可能という。
さらに、このWebアプリにはContent Credentialと編集履歴を復元して表示する検査ツールが含まれている。このツールで、Webサイト上でContent Credentialが適用されているかどうかを確認できるようになる。
Adobeは、この設定を業界全体で採用するよう取り組んでいる。例えば、生成AIのオプトアウトアグリゲーターのSpawningが、この設定を認識することに合意している。
同日、Content AuthenticityのChrome拡張機能の無料β版が提供開始される見込み。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
LinkedIn、AIトレーニングから個人データをオプトアウトするボタンを追加
LinkedInは9月18日、プライバシーポリシーを更新し、AIモデルの開発および訓練のために利用者の個人データを使えるという項目を追加した。ポリシー更新前から、個人データ利用をオプトアウトするためのボタンが設置されている。
アドビ、初の動画生成AIモデル発表 テキスト・画像→動画のほか“別視点”も生成可能に 24年後半にβ版
Adobe初の動画生成AIモデル「Adobe Firefly Videoモデル」が登場した。テキストや画像から動画を生成できるだけでなく、クリップの尺を引き伸ばしたり、動画の別の視点を生成することも可能だ。
アーティストをAI学習から守るSNS「Cara」、ユーザー急増中
アーティストの作品を企業の生成AIトレーニングや盗作に利用されないように守ると謳うSNS「Cara」のユーザーが急増中だ。MetaやXは、ユーザーの投稿をAIのトレーニングに使っていると認めている。
生成画像で知財トラブルあればアドビが補償 画像生成AI「Adobe Firefly」にエンタープライズ版
米Adobeは6月8日(現地時間)、画像生成AI「Adobe Firefly」のエンタープライズ版を2023年下半期に提供すると発表した。「Creative Cloud」「Adobe Express」に加え、CMSソリューション「Adobe Experience Mnager」に、商用利用できる画像生成、編集機能を提供するという。


