電子コミックの源流は“PDA”から――「コミックシーモア」が歩んだ20年、朝日代表に聞く:小寺信良のIT大作戦(1/4 ページ)
もはやマンガを読む手段としてすっかり定着した、電子コミック。その中でも老舗とされる「コミックシーモア」も、2024年で20周年を迎えた。そのコミックシーモアを運営するNTTソルマーレの朝日利彰代表に、参入当時から現状の傾向にいたるまで話を伺った。
もはやマンガを読む手段としてすっかり定着した、電子コミック。旧作から新作まで、スマホやタブレットでいつでもどこでも好きな作品が読める便利さは、毎週決まった曜日にマンガ雑誌を買いに行くしかなかったわれわれ読者の習慣を大きく変えた。
その中でも老舗とされる「コミックシーモア」も、2024年で20周年。これを記念して、運営会社のNTTソルマーレは9月5日、報道陣を集めて電子書籍事業戦略発表会を開催した。同社はNTT西日本の完全子会社である。
今回はNTTソルマーレの朝日利彰代表に話を伺う機会を得た。コミック配信事業だけでもすでに30社を超えるという中、電子コミック市場の立ち上がりや現在の状況を伺いつつ、コミックシーモアの特徴や立ち位置を明らかにしてみたい。
最初はPDA? コミック配信の始まり
──コミックシーモア20周年おめでとうございます。これまでの歩みを拝見させていただいたところですが、最初に「Foobio」という端末ダウンロードサービスから始められてますよね。お金を入れてPDAを接続して、マンガをダウンロードするというサービスだったとか。この端末は東西関係なく展開されたんでしょうか?
朝日:大阪を中心にサービスを開始し、東京にも展開していました。当時は、すでに光回線がありましたので、そこにつなげばどこからでもダウンロードできる形にはなってたと。
──そして04年には、当時のいわゆるガラケー向けにiモードでサービスを展開されています。当時からすでにワイヤレスで、モバイルでマンガを読ませるっていうビジョンがあったわけですか
朝日:「Foobio」の時は、ターゲット端末はザウルスだとかカシオペアのような通信機能を持たないデジタル端末で、コンパクトフラッシュだとかSDカードにダウンロードしましょうっていうビジネスでした。このターゲット端末が携帯に変わることは明らかだったんで、もうこのビジネスは通用しないなっていうことで、3年でサービスを終了しました。
その3年のうちに、ダウンロードコンテンツではコミックは人気があるということはつかみましたので、私たちはコミックに集中して、しかもダウンロードはお客さんがやる形でビジネスとして立て付けるべきだということで、「コミックi」がまずiモード上で生まれたわけですね。当時はまだ、先行事業社は1社しかなかったんです。
──当時の携帯電話って画面解像度が低いので、そこでマンガを読ませるにはコマごとに切り出すとか、いろんな方法を試行錯誤されてたと思うんですけども。そもそも当時のマンガはデジタルデータになったものはなくて、紙からスキャンしてバラしていったっていう、そういうことですかね?
朝日:まさにおっしゃる通りですね。版面をスキャンして、それをコマに切り取って並べ直して、全体を1つのコンテンツにして。
もう取りあえずしんどかったって話だけはたくさん聞いてます。それでも最盛期、月間10億ぐらいダウンロードがあったそうです。
──まさに、通信業界イケイケだった時代ですよね
朝日:そうですね。思った以上にユーザーさんの反響があって、iモードだけでなくauさんだとか、当時のvodafoneさんでも同じビジネスモデルをやることになりました。ある意味、日本の携帯を所持してる方全員に向けてコミックビジネスをやっていくってことになったわけです。
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