リンクアンドモチベーション経営層の本棚をのぞき見 愛読書は?:IT経営者の本棚(2/3 ページ)
本連載では、今をときめくIT・Web関連企業の経営者の本棚や愛読書をのぞき見。現代社会で戦うIT経営者たちがどんな考え方に影響を受けているのか、ヒントを探る。今回はリンクアンドモチベーション経営層の本棚や愛読書をのぞき見る。
川内正直常務執行役員の本棚
読んでいる本の傾向
組織人事領域に関するコンサルティング事業やSaaSプロダクト事業を扱っているため、基本的には本屋で組織や人事に関する書籍で目についたものは購入するようにしています。学術的な理論の解説書はもちろんですが、さまざまな方の持論をインプットすることも発想を拡げる上で大切にしています。
特に気に入っている・印象に残っている本
私はコンサルティング事業からキャリアをはじめました。その道を歩もうと思ったきっかけは、学生時代に大学の生協で見つけた「ザ・ゴール」(エリヤフ・ゴールドラット著)でした。黄色の派手なカバーと500ページを超える分厚さを今でも覚えています。難しい課題を解決するという仕事の面白さを疑似体験でき、影響を大きく受けました。問題の本質的なボトルネックを見極めるという学びは今でもマネジメントに役に立っており、時折本を見返すこともあります。
SaaS事業を始めてからは特にテック系カンパニーの事例などがまとまっている本を読む機会が格段に増えました。一方で、テクノロジーの進化が激しいからこそ、逆説的ではありますが普遍的なものは何かについても考える機会が増えました。特に大手企業の幹部候補育成のためにはリベラルアーツを再度学ぶことが多いことを知って、自分自身も哲学や人間学などの本を読むようにしました。
中でも戦後の政財界に大きな影響を与えた「知命と立命」(安岡正篤著)は何度もマーカーを引きながら読みました。文中で論語の「民衆の代わりに省みて、余計なことを省く。これが政治だ」という一説が引用されています。これはマネジメントでも全く同じだと思いました。多くの事象をしっかりと振り返り、余計なことを省いて、注力すべきポイントを明確にするということだと理解しました。プロダクト開発でも同様に、省みて、省く。私にとって原点や本質などに立ち返ることをいつでも気付かせてくれる1冊です。
川内さんのプロフィール
リンクアンドモチベーション常務執行役員。2003年早稲田大学卒業後、 リンクアンドモチベーション入社。採用や育成、人事制度構築、経営ビジョン策定・浸透など、一貫して組織課題の解決に向けたコンサルティング業務に従事。顧客企業の組織変革を成功に導く傍ら、自社の新規拠点の立ち上げや新規事業「モチベーションクラウド」の拡大などをけん引。2010年に、当時最年少で大手企業向けコンサルティング事業の執行役員に就任、2018年に取締役、2022年に常務執行役員に就任しグループ最大規模である組織変革コンサルティング部門を統括。著書に「マネジャーのための人事評価で最高のチームをつくる方法」(翔泳社) 。
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