「負けヒロインが多すぎる!」と豊橋市の“超絶コラボ”、どう実現したのか? 仕掛け人に聞く【前編】:まつもとあつしの「アニメノミライ」(2/4 ページ)
2024年夏アニメの話題作となった「負けヒロインが多すぎる!」(略称:マケイン)は、愛知県豊橋市を中心とした地域を舞台とする青春ラブコメだ。この豊橋がまさに「地域を挙げて」マケインコラボで盛り上がっている。自治体、地域コミュニティー、そして鉄道会社によるコンテンツツーリズム、地域振興策が積極的に展開できた理由を、仕掛け人たちに聞いた。
豊橋がすぐに“乗る”ことができた理由
――豊橋が提案にすぐ乗ることができた要因はあるのですか?
加藤:豊橋はロケ誘致に力を入れてきました。TBSでドラマ「半沢直樹」シリーズ(2013〜)などを手掛けられた福澤克雄監督の作品を積極的に誘致し、「ルーズヴェルト・ゲーム」(2014)や「陸王」(2017)などの舞台になっています。「物語の舞台を受け入れる」風土が醸成されてきたところに、モンハンをテーマとしたコンテンツタウン構想の提案があり、やってみようということになりました。
――ロケ誘致は多くの自治体でフィルムコミッションが担当しています
加藤:はい、豊橋市でもマケインのロケでA-1 Picturesのスタッフの皆さんを精力的にご案内していたのはフィルムコミッションでした。それまでも豊橋市とフィルムコミッションは協力してドラマや映画のロケ誘致に力を入れてきたのですが、作品の舞台にはなってもアニメのように大勢のファンが観光に訪れるわけではない……という悩みを抱えていたところに、まずモンハンの企画がやってきたわけです。
JR東海さんと豊橋市は作品を活用してどう観光誘客につなげるかという部分を担当し、制作チームとつながってロケーションを行い、舞台地を作っていくのがフィルムコミッションという役割分担ですね。豊橋市は22年から「豊橋が作品の舞台ではない」このモンハンをテーマにしたコンテンツタウン構想を進めていたので、マケインのロケハンをサポートしていたフィルムコミッションとは別軸での動きだったんです。
一方、JR東海さんは23年12月にマケインのアニメ化が発表される前から、原作ラノベとのコラボを進められていました。
モンハンコラボが進む中で、JR東海の福井さんから「もう1つやりませんか」と提案されたのが、アニメ化が発表されたマケインだったんです。
――フィルムコミッションが進めていたドラマやアニメのロケ活動、JR東海が進めていた原作コラボという歴史があって、現在に至るというわけですね
加藤:そうですね。実は、総選挙の前に市営の動植物園「のんほいパーク」でも原作ラノベとのコラボが行われていたのですが、これは市を挙げてというものではなく、当時の熱心な担当者によるものでした。JR東海さんから総選挙のポスター掲示の依頼が来たときも観光とか地域振興という前のめりなものではなく、「豊橋出身の作家さんの応援になるなら」という気持ちでお応えしていました。
アニメ化発表後、私たち行政に正式にコラボのご提案が来た段階では、フィルムコミッションとA-1 Picturesさんとの間には既に信頼関係ができている様子でした。そこから、JR東海さんのご提案をきっかけとして行政も加わり、観光誘客を目指す現在の形になっています。
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