Apple、「Apple Intelligence」を支えるPCCの仮想研究環境を公開
Appleは、「Apple Intelligence」のためのクラウドコンピューティングアーキテクチャ「PCC」のガイドや仮想研究環境などを公開した。関連脆弱性の報告奨励金も提供する。
米Appleは10月23日(現地時間)、「プライベートクラウドコンピューティング」(PCC)に関する新たな取り組みをセキュリティ研究者やプライバシーに関心のある人々に向けて発表した。この取り組みの目的は、PCCのセキュリティとプライバシーに対する透明性を高め、第三者による検証を促進することだとしている。
PCCは、「Apple Intelligence」の処理要求をユーザーのプライバシーを保護しながら実行する、Appleのクラウドコンピューティングアーキテクチャ。Apple Intelligenceの機能はパーソナルな情報と密接に連携するため、処理は基本的にデバイス上で行うが、大規模な処理を実行したい場合に向けて、セキュアなPCCを構築した。PCCには、同社のデバイスセキュリティモデルを適用している。
Appleは、PCCの技術的な詳細を説明する「Security Guide」、仮想リサーチ環境(VRE)、PCCの主要コンポーネントのソースコードを公開した。
VREは、macOS Sequoia 15.1 Developer Previewで利用可能なツールセットであり、Mac上でPCCのセキュリティ分析を行うことができる。VREでは、PCCノードソフトウェアをわずかな変更を加えた仮想マシン上で実行することで、PCCが実際にユーザーのプライバシーを保護していることを確認できる。また、仮想Secure Enclave Processor(SEP)が含まれており、このコンポーネントのセキュリティ研究を可能にする。
また、Apple Security BountyをPCCに拡大する。PCCの基本的なセキュリティとプライバシーの保証を損なう脆弱性に関する報告に対して、報奨金を提供する。iOSの脆弱性に対する報奨金に匹敵するもので、ユーザーデータや推論リクエストデータの漏洩につながる脆弱性に対しては最高100万ドルを支払う。
Appleは、これらの取り組みを通じて、PCCがスケールにおいてクラウドAIコンピューティングに展開された最も高度なセキュリティアーキテクチャであることを示し、さらに安全でプライベートなものにしていきたいと考えているとしている。
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