どこまで使える? 動画の“続き”をAI生成できる「Premiere Pro」新機能 いろんなパターンで実験してみた:小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(2/4 ページ)
AIを活用した動画関連の機能として「カットの続きを作る」機能が、Adobe Premiere Proのβ版に実装された。すでに現在配布中のβ版、バージョン25.1.0(ビルド47)には搭載されているということで、いろんなパターンの動画で実験してみた。
さまざまな動画の「続き」を生成してみた
まずは望遠で撮影したヨットの動画の続きを生成してみた。このカットは、本当にこれ以上先がない動画である。どこからがAI生成なのか分かりやすくするために、テロップを入れてある。生成にかかかる時間は、さまざまな条件によって変動はあるとは思うが、筆者がテストした限りではだいたい2分程度で完了するようだ。
動画を流しで見ると、AI生成部分は若干フォーカスが甘い感じがするものの、一見違和感がないように見える。ただよく見ると、波のパターンが単純な横線になっている。フォーカスが甘くなったように感じるのは、画面の大部分を占める海面のディテールが減ったからだろう。またヨットの操縦者の頭がなくなってしまうのは、AIがこの部分を人間だと認識できなかったからだろう。
その一方で、手前の岩のディテールはほとんど変化がない。またヨットの形状にも変化はない。固定されたディテールや形状には強いという事だろう。動画生成のポイントは、画面の中で人がどこに注目しているか、である。そのポイントのディテールを外さない限り、多くの人は他の部分に違いがあっても、気が付かない。
では、アウトフォーカスされた部分はどのように生成されるのか。手前の花にフォーカスが合い、後ろがボケている動画の続きを生成してみた。
これも手前の花やベンチの手すりなどのディテールが変わらないため、ほとんど生成した部分との違いが分からない。被写界深度によってボケたテーブルや草むらのディテールも変わっていない。こうしたディテールが分からないぼんやりとした部分も、うまく生成できるようだ。
奥に見える男性の歩きも自然で、最後にちょっと駆け出すようなモーションも感じられるところだが、この部分がオーバーラップの「のりしろ」になるとすれば、分からなくなるだろう。若干コントラストが強くなっていく傾向も見られるが、AIが実写より適正な露出へ向かおうとしているのは、興味深いところだ。
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