ニュース
「AI橋田壽賀子」で“令和の渡鬼”脚本を AIベンチャーと橋田財団が協力
“令和の橋田ドラマ”の脚本を、LLMと人が共同で制作する「AI橋田壽賀子」プロジェクトがスタート。
AIベンチャーのABEJA(東京都港区)は11月14日、“令和の橋田ドラマ”の脚本を、LLMと人が共同で制作する「AI橋田壽賀子」プロジェクトに参加すると発表した。
「橋田壽賀子さんが存命だったら、どのように令和の時代の家族像を描くか」をテーマに、「渡る世間は鬼ばかり」の脚本データを学習したLLMを活用して脚本を作る。橋田さん生誕100周年を迎える2025年春の完成を予定している。
「AI橋田壽賀子」は、橋田壽賀子氏が1992年に創設した「橋田文化財団」が計画したプロジェクト。
まず、紙ベースで保管されていた「渡る世間は鬼ばかり」の膨大な脚本をデータ化し、橋田ドラマの世界観を形式知化。登場人物像や人物間のコミュニケーションの設計、セリフの言い回し、ストーリーの展開など「橋田ドラマ」の特徴を収集し、データに変換する。
このデータをABEJAのLLMサービス「ABEJA LLM Series」に学習させ、プロンプトエンジニアリングなどを通じて精度を高めた上で文章を生成し、人がフィードバックすることで、橋田さんのホームドラマの持ち味そのままに、設定を令和の時代にアレンジするという。
「複雑な倫理観や価値観、人間らしさが交錯する感情、非合理的なアクションなど、橋田ドラマを特徴づける登場人物の再現性」がプロジェクトの肝だとしている。
ABEJAは「このプロジェクトは、生成AIの新たな利活用を加速させるステップになる」とコメントしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
お久しぶりか、初めましてか――“AI美空ひばり”に見る「デジタル故人」との付き合い方
デジタル技術を使って故人の歌声や思考パターンを再現することが実現できる世の中となってきた。そうして復元された故人と、どう向きあえばいいのだろうか。デジタル遺品や、故人とデジタルの関係を10年以上追いかけているライターが考える。
「AIだからすごいんでしょ」を超えていけ──ヤマハが異例の“生成AIボカロ”オープンβテストに踏み切ったワケ 仕掛け人の「AI美空ひばり」開発者に聞く
ヤマハがAI歌声合成ソフトのオープンβテストを始めた。これは同社の歴史上かなり珍しいことだ。同社の従来方針と食い違うにもかかわらず、なぜ踏み切ったのか。「生成AI時代の作品づくり」に対する考え方を、「AI美空ひばり」開発者でもある2人の仕掛け人に聞いた。
松田優作さんを“デジタルヒューマン”として復活させるプロジェクト、東映が発表
東映のツークン研究所は31日、新たな映像表現を目指す取り組みの一環として1989年に亡くなった俳優の松田優作さんを「デジタルヒューマン」として蘇らせるプロジェクトを発表した。
亡き妻の歌声をAIで再現 「AIアートグランプリ」受賞
AIを使って作られたアート作品を表彰する「第1回 AIアートグランプリ」の最優秀作に、他界した妻の歌声と写真をAIで生成したMVが選ばれた。
「死後にデジタルで再現していい?」約6割が反対 理由は「意思確認できない」「死後も働きたくない」
自分の死後、行動履歴やSNSの投稿からデジタル上に再現することに約63%が反対。理由は「本人の意志確認ができない」「倫理的にタブーと感じる」「死後も働きたくない」など。
