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“博物館の照明”を充電式にした理由は? ミネベアミツミ「サリオピコ ポータブル」の新コンセプト分かりにくいけれど面白いモノたち(1/4 ページ)

博物館や美術館の照明機器の性能をそのまま家庭やオフィスに、というコンセプトだったミネベアミツミの「SALIOT pico(サリオピコ)」にバッテリー搭載モデルが登場した。開発担当者に詳しい話を聞いた。

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 以前、この連載で取り上げたミネベアミツミの「SALIOT pico(サリオピコ)」は、デスクライトとしてはかなり風変わりでオーバースペックの製品だった。それが面白くて取材して記事にしたのだが、それから2年半経った11月27日に新しく「SALIOT pico ポータブル」が発表された(発売は12月)。照明機器としての性能は従来製品と同じだけれど、なんと充電式になり、さらに微妙にデザインにも変更が加えられている。


ミネベアミツミの「サリオピコ ポータブル M」(2灯タイプ)は4万5100円。バッテリー駆動時間は約1時間半(出典:ミネベアミツミ)

 私は、従来機の愛用者だったこともあって、発売前に製品をお借りして使ってみたところ、充電に対応したことで、博物館や美術館の照明機器の性能をそのまま家庭やオフィスに、というコンセプトだった従来の「サリオピコ」とは、全く違ったコンセプトの製品になっていた。実際に、その製品開発の経緯を取材してみると、そこにはBtoBの製品をBtoCの製品に転用することの難しさと魅力の双方が感じられて面白かったのだ。


ミネベアミツミ「サリオピコ・ポータブル S」(1灯タイプ)、3万3000円。バッテリーで約3時間駆動する(フル充電、フル発光時)

 モノづくりの過程において、メーカー側には、製品を実際に市場に出してみないと気がつかないことがあり、ユーザー側にとって不思議だったことが、メーカーにとっては必然だったということは、往々にして起こり得るのだ。そして、その結果生まれた新製品は、メーカーとユーザーの双方にとってメリットのある着地点になっているというのが、新しいサリオピコ ポータブルの良さだと思った。

 「充電できるようにしてほしいというのは、発売当初から、お客様からも要望がありました。ただ、サリオピコの場合、レールにスポットライトのような形でライトが付くというスタイルを実現するにあたって、台座がかなり重くないと安定して自立しないという問題がありました。それで、台座と支柱の設計に注力していたこともあって、充電に思い至りませんでした。元々、博物館などで使っているシステムを、そのまま家庭に持ち込みたいという企画でしたから、電源は外部から取るのが当然という発想でしたね」と話してくれたのは、サリオピコ(コードレスタイプ)の開発に当たったミネベアミツミ照明EC製品推進室室長の上野毅さんだ。

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