“博物館の照明”を充電式にした理由は? ミネベアミツミ「サリオピコ ポータブル」の新コンセプト:分かりにくいけれど面白いモノたち(4/4 ページ)
博物館や美術館の照明機器の性能をそのまま家庭やオフィスに、というコンセプトだったミネベアミツミの「SALIOT pico(サリオピコ)」にバッテリー搭載モデルが登場した。開発担当者に詳しい話を聞いた。
「元々の企画が、家庭でも簡単に間接照明が得られるライトを、というものでしたから、寝かせて使うのが先に頭にあったんです。それを立てて使えるようにすれば、デスクライトにもなるね、といった発想でしたから、家庭やオフィスの机の上で使うライトが、どのように使われるのかが分かっていなかったんですね」と上野さん。しかし、これも、まず製品を世に出したからこそ気がつけたことだし、その製品が、かなりBtoB的な製品であったにも関わらず、コンシューマーのユーザーにとっても魅力的で有用だったということの証明でもあるのだろう。
デザインは変っていないが、今回、色は黒ではなく、シャンパンゴールドとブラウンメタリックの2色展開になった。これも、家電的な方向にシフトした表れだ。
特に1灯タイプのシャンパンゴールドモデルだと、元の製品にあった、プロの機材をご家庭に的なムードが払拭され、オシャレ家電のようにも見える。このあたりも、上野さんが自ら、インテリアショップやセレクトショップを実際に回ってみた実感から生まれたものだという。
「元の製品のデザインも決して評価は低くなかったんです。機能的なデザインで、好む方も多かった。ただ、家庭用のデザインだったかというと、やや尖り過ぎだったかなと今は思います。最初に作っていた時は、これが男性的なデザインだという意識も無かったんです。元のデザインも、決して間違いではなかったと思います。ただ今回、新しくやるにあたっては別のアプローチをしたいなと思った時に、やはり、前のデザインは黒子的と言いますか、裏方的な存在なんですよ。だから、インテリアに合うとか合わないとか、そういう事以前で、その意味でも家電的ではなかった」
しかも、色を変えただけでなく、ほとんど同じに見える形状だが、実は角に少しRを付けてあるのだ。そうやって、武張った印象を和らげると同時に、安全性にも配慮している。それでいて、元々のコンセプトである、プロの道具的なイメージも残しているのが、なんとなく信頼できる気がする。
家電的とプロユース的、BtoB的とBtoC的という意味的な比較ができる製品というのも、中々珍しく、しかも、相変わらず、実際に使ってみないと、その凄さは伝わりにくいことも変わらない。しかし、とにかく机での作業が多い人、オフィスや家庭の机の上で撮る写真のクオリティを上げたい人、目に優しい光が欲しい人は、一度使ってみてほしいライトなのは、有線タイプも充電タイプも同じ。試してみてほしいと思う。
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