原因は“伝言ゲーム”? クレカ表現規制で赤松健氏、山田太郎氏らが集会 規制の背景や国内外の現状を解説(3/3 ページ)
表現の自由を守ることを目的に活動する団体「うぐいすリボン」は、「クレジットカード会社等による表現規制『金融検閲』問題を考える」と題した院内集会を、参議院議員会館で開催した。同団体代表の荻野幸太郎さんや山田太郎参議院議員、赤松健参議院議員らが登壇した。
クレジットカードは“インフラ” 山田議員が考える今後の対応
山田議員は、今後のクレジットカードの表現規制への対応に関し、国内の電子決済の比率が約4割になり、さらに比率が増していくと予測される現状に着目する。電子決済のほとんどがクレジットカード決済であり、クレジットカードのブランドもVisa/Mastercard/JCB以外の選択肢がほぼなく、寡占状態にあるという。国としても、電力やガス・鉄道に並ぶ「重要インフラ」にクレジットカードを指定しており、プラットフォーマーとしての側面もあるとしている。
これを受け、山田議員は「表現規制だけではなく、例えば、とある国の意向によって、こういう取引をさせないとなれば、国は混乱するだろう」と説明する。「プラットフォーム、あるいはインフラとして(クレジットカードに対する)規律・規制が必要になる」との考えを明かした。
具体的には、独占禁止法の解釈を広げ、「好き嫌いだとかいろんな理由でもって合法な取引ができない」状況を解消できないか、現在検討中とのこと。他にも、消費者保護の観点から、自由な売買を保証する文脈でクレジットカードに対して規律を設けるなどの案を挙げ、法的な根拠を準備し、クレジットカードの表現規制に対応するとしている。
赤松議員、マンガ図書館Z閉鎖で「当事者ならではの知見分かった」
集会には、漫画家で参議院議員の赤松健さんも登壇。立ち上げに関わった、絶版マンガなどの電子書籍配信サービス「マンガ図書館Z」が11月26日に停止した経緯を説明。「当事者ならではの知見が分かった」と語った。
赤松議員によると、停止の直接的な原因は、決済代行会社がクレジットカード以外の決済手段全てを含む決済サービスの解約を通告してきたことという。通告より前の2024年夏分の支払いもできないとの連絡があり、サーバの利用料金が払えなくなったと報告した。「普段から表現の自由・創作の自由を伝えている自分が決済サービスを押さえる会社に屈することになり、非常に申し訳なく思う」と謝罪した。
一方で「当事者ならではのいろいろな知見が分かった」とも赤松議員は語る。「3日後にはすぐやれ」というようなスピード感で通知が来ることなどが具体的に分かったとともに、どうすれば回避できたのかについても徐々に明らかになっていると説明した。
「例えば、ビットキャッシュ(インターネット決済で利用できる電子マネー)が結構使える。こういった現場の声が集まっている。こうした集会を通じて、意見交換や議論が深まり、前向きな解決法や代替の決済手段などの研究が進んでいくことを望んでいる」(赤松議員)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
クレカ表現規制に対するVisaの見解、山田議員が日本法人に「価値判断しない」と再確認 社長の発言を受け
山田太郎参議院議員は、ビザ・ワールドワイド・ジャパンに対し、クレジットカードの表現規制について「内容に関する基準は定めておらず、判断もしていない」とする見解を再確認したと、自身のXアカウントで明かした。
絶版マンガ配信サイト「マンガ図書館Z」停止へ クレカ会社による決済サービス解除で
Jコミックテラスは、同社が運営する絶版マンガなどをWebで配信するサイト「マンガ図書館Z」を停止すると発表した。クレジットカード会社など、決済サービスの契約解除を受けての対応という。
「マンガ図書館Z」サイト停止の背景を創設者の赤松健さんが説明 SNSでは決済代行会社による「焚書」と強い反発
「マンガ図書館Z」のサイト停止について、漫画家で参議院議員の赤松健さんが改めて説明した。直接的な原因は、決済代行会社が「決済サービス全体での解約」を通告してきたためだった。
メロンブックス通販、Visaでの決済停止に 「力及ばず」
同人誌の通販などを手掛けるメロンブックスが、Visa/Mastercardでの決済を12月19日で停止すると発表した。店舗では順次再開する予定だが、女性向けの「フロマージュブックス」を含む通販で再開予定はなく、JCBやAmerican Expressなど他の決済手段を利用するよう顧客に呼び掛けている。
山田太郎議員が米Visa本社で会談──クレカ表現規制巡り「合法コンテンツの取引で価値判断はしない」との発言引き出す【追記あり】
「合法コンテンツの取引の価値判断はしない」と明言を得た──山田太郎参議院議員は、クレジットカードの規制を巡ってVisaの担当者からこのような発言があったと自身のXアカウントに投稿した。



