「ダース・ベイダー」似の新種ダイオウグソクムシ その名は「バチノムス・ベイダー」 高値で売買される高級食材:Innovative Tech
シンガポール国立大学やベトナム国家大学ハノイ校、インドネシア国立研究革新庁に所属する研究者らは、ベトナムの南シナ海で、新種の巨大等脚類(ダイオウグソクムシ)が発見された研究報告を発表した。
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このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
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シンガポール国立大学やベトナム国家大学ハノイ校、インドネシア国立研究革新庁に所属する研究者らが発表した論文「A new species of supergiant Bathynomus A. Milne-Edwards, 1879(Crustacea, Isopoda, Cirolanidae)from Vietnam, with notes on the taxonomy of Bathynomus jamesi Kou, Chen & Li, 2017」は、ベトナムの南シナ海で、新種の巨大等脚類(ダイオウグソクムシ)が発見された研究報告である。
研究チームは、南シナ海のベトナム沖で採集された新種の等脚類(バチノムス属)を「Bathynomus vaderi」(バチノムス・ベイダー)と命名。種小名のvaderiは、この生物の頭部の形状が映画「スター・ウォーズ」に登場するキャラクターであるダース・ベイダーのヘルメットに似ていることに由来する。
バチノムス・ベイダーは体長26cmを超える巨大種である。この種の特徴として、平行な側縁を持つ長方形の頭部領域、後方に湾曲した第7胸肢の底板、そして11本の上向きの尾節棘を持つことが挙げられる。
この発見の背景には、ベトナムにおけるバチノムス属の商業的漁業の発展がある。ベトナムでは2017年頃から、これらの深海性等脚類が、高級食材として注目されるようになった。当初は1kg当たり200万ドン(約80ドル)という高値で取引され、需要に応えるため漁獲が増加した結果、24年には1kg当たり100万ドン(約40ドル)まで価格が下落している。
Source and Image Credits: Ng PKL, Sidabalok CM, Nguyen TS(2025)A new species of supergiant Bathynomus A. MilneEdwards, 1879(Crustacea, Isopoda, Cirolanidae)from Vietnam, with notes on the taxonomy of Bathynomus jamesi Kou, Chen & Li, 2017. ZooKeys 1223: 289-310. https://doi. org/10.3897/zookeys.1223.139335
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