見た目はレトロ、中身は最新技術――アドビ、15年の歳月をかけた独自バリアブルフォント「百千鳥」公開
米Adobeは2月13日、日本語バリアブルフォント「百千鳥」を公開した。同フォントは2024年4月の「フォントの日」に発表されたもので、構想から完成まで15年の歳月をかけたという。
米Adobeは2月13日、日本語バリアブルフォント「百千鳥」を公開した。同フォントは2024年4月の「フォントの日」に発表されたもので、構想から完成まで15年の歳月をかけたという。百千鳥はCreative Cloudの有償メンバー向けに提供され、フォントサービス「Adobe Fonts」にて利用できる。
百千鳥は、太さの可変に加え、縦長・横長へのプロポーション変更にも対応したバリアブルフォント。可変の仮想ボディとカラーグリフを特徴とし、昔から看板などの描き文字や写植で使われてきた平体と長体の表現を、単なる歪みではなく最適な字形で実現できるのが特徴。3軸のスライダーで文字の太さや幅を自由に調整でき、1つのフォントファイルで多様な表現が可能という。
かなに手描きストロークの動きを取り入れた自然な曲線を採用し、漢字には通常のゴシックとは異なる独自のテイストを付与。長体と平体の圧縮率によってかなの字形が切り替わる仕様や、百千鳥を模した小鳥のカラーグリフも搭載(こちらもバリアブル対応)している。
こうした特徴により、限られたスペースでの文字組みや、紙面の見出し・本文のバランス調整、Webデザインでの画面サイズに応じた最適化など、幅広い用途に対応。複数のフォントファイルを読み込む必要がないため、Webサイトの表示速度向上にも寄与するという。
通常、フォントは全角(正体)を基準にするが、百千鳥では平体と長体をマスターとし、全角は平体と長体の中間により再現しているという。マスターが存在しない全角でも意図したグリフになるよう、細かな調整が求められたとしている。
このほかAdobe Fontsでは、和文フォントのパートナー企業として「デザインシグナル」「日本書技研究所」「TNOFデザイン」「ヨコカク」の4社が新たに加わっている。
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