3Dデザインを手軽に作成? アドビ「Project Neo」β版を試す 生成AIを使った新3Dツールの使い勝手は:小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(2/2 ページ)
2月に開催された「Adobe Max Japan 2025」で発表された新しいツールに、「Project Neo」がある。簡単に3Dデザインを作成できるツールとしているが、Adobeは3Dツールに「Substance 3D」すでにある。違いとして「Project Neo」は、2Dユーザーでも簡単に3Dデザインが作成できるツールとして開発が進められている。何ができるのか、パブリックβ版から検証する。
出力と動画への応用
もちろんオブジェクトを作って終わりではなく、これをレンダリングして結果を得ることになる。コンテキストバーの「シーンから画像を作成」を選ぶと、AIに対してプロンプトが入力できる画面になる。このオブジェクトはあくまでも位置や形状を指定するためのサンプルであり、本番はむしろここからである。
簡単な形状から公園の遊具を出力してみたが、こうしたシンプルなオブジェクト数からそこそこ見栄えのする画像が得られるところが、Project Neoの特徴である。
このオブジェクトをどれぐらい参照するかのレベルが決められるのは、興味深い機能だ。次のオブジェクトを使って、廃墟となった古代文明の姿を出力させてみた。順に参照率100%、80%、70%と下げてみたが、「80%と70%の間で一体何があった?」と思わせるほど、70%以下ではAIが自由に作り始める。もう少しさじ加減の加え具合がバリアブルになると、われわれの期待する機能に近くなるだろう。
最終出力までにあまり工数がかからないので、なんとなくの形を作り、それを使って打ち合わせなどのプリプロダクションを行うといった用途は考えられる。ただ、最初からあまりフォトリアリスティックに作りすぎると、じゃあコレ通りで本番も作ってくれと言われた時に困る。あくまでもAIが適当に出した絵なので、再現性がないからである。
また現時点でProject Neoは静止画の出力のみに対応しており、動画は生成できない。とはいえ、Adobe Fireflyの動画生成機能と組み合わせたらどうなるだろうか。
例えばProject Neoの1つのシーンからアングル違いで2枚の静止画を出力させ、それをAdobe Fireflyの画像2点指定でつなげば、移動する動画が作れるのではないか。
だが思ったような結果にはならなかった。それというのも、Project Neoではカメラアングルを変えただけで、全然違う絵を生成してしまうからである。つまり同じシーンのアングル違いが生成できない。今回はなるべく雰囲気が近い画像を選んでみたのだが、やはり単純なアングル移動にはならなかった。この「生成結果の継承」というのが、1つの課題になるだろう。
では1枚の画像から、単純にカメラのズームインやズームバックなら動画になるのではないか。試しにロングショットの静止画1枚を参照させ、そこからズームインする動画、右に移動する動画を生成してみた。
1枚を参照するだけなら問題ない動画生成ができる。Adobe Fireflyの補助ツールとしての使い道もあるだろう。
AI画像生成はコントロールが難しく、むしろプロンプトを細かく書いて指定したほうがコントロールしやすいきらいがあるが、自分で絵が描ける人にそうした作業は耐えられないという課題がある。
ただProject Neoのような簡易的なツールをプリプロダクションツールとして使うというやり方は、何度もコマンドプロンプトを修正して再出力するよりは、絵が描ける人にとって親和性が高い作業のように思える。
今後Project Neoがどのようなツールになるのか、現時点ではまだはっきり見えないところではある。だが簡易3Dモデリングを起点としてAIに情報を指示するという方法論は、これまであまり見られないアプローチであり、今後の発展が期待できるところだ。
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