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「Switch 2」は何を目指したゲーム機か? 2万円安い“日本版”や新機能にみる、任天堂の戦略とは(2/3 ページ)

「Nintendo Switch 2」の詳細と発売日、価格が発表された。あの機能や価格はどういうところが特徴なのだろうか? 現状分かっているところから、その意味と価値を考えてみよう。

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子どもも含めた「一家に複数台」がSwitchの強み

 他の家庭用ゲーム機と、Nintendo Switchシリーズの違いはなにか?

 それはもちろん、「携帯型としても使える」ことだ。携帯型であるからいろいろな場所で遊ぶことができて、幅が広がる。現在はゲーム市場が大人向けにシフトしてはいるが、子ども向けの市場も極めて重要だ。任天堂のIPは幅広い層に人気があり、子どもに向けたゲームの市場では圧倒的な人気と信頼がある。

 その結果としてSwitchは、世界で累計1億5086万台(2025年3月期第3四半期時点)が売れている。一家に一台というよりも「複数の家族が持っている」ことが多いことが、この台数を現実のものとした。

 だとするならば、任天堂はどう対応すべきか?

 答えは、「Switchの成功を引き継ぎ、より価値の高いものにする」ことだ。

 ソフトの互換性維持は最重要ポイントだが、一見地味に見える「おすそわけ通信」や「バーチャルゲームカード」も、Switchの持つ特性を維持し、家庭の中でのSwitchの台数を維持するには大切な仕掛けでもある。

性能はPS5に劣るが狙いは異なる

 Switch 2は「テレビにつないだ時でも、携帯型としても遊べる」という、Switchの特徴を維持した。そのことがSwitch 2が評価されるポイントではあるが、それは制約にもなる。

 性能面では、PlayStation 5のような据え置き型ゲーム機や、ゲーミングPCに比べ不利になる。テレビモードでも、解像度や画質、フレームレートでは劣る。性能の詳細は公開されていないが、特定のソフトで最大4K・60Hz駆動とされており、その点だけでもライバルとは差がある。Switch 2用のドックには追加のファンが搭載され、それで冷却をしなければ4Kを実現しづらいというのは、携帯側ゆえの制約である。


ドックにファンがついて性能を引き出しやすくなったが、それでも絶対性能はPS5などに劣る

 ただ、筆者は「性能が他より低いからSwitch 2は失敗する」などと主張したいわけではない。

 また逆に「ゲーム機に性能は関係ない」と主張するわけでもない。

 ゲーム機におけるグラフィック性能は1要素であり、それだけでなにかが決まるものではない。そして、ゲーム機同士が単純にシェアを奪い合っていた時代とも違ってきており、「ゲーム機によって受容層が異なる」というのが現在のゲーム市場だ。PlayStation 5も発売4年(2024年12月末現在)で7490万台売れており、単純に需要を食い合っているわけではない。

 コアなゲームをテレビやPCディプレイとともに楽しむ人もいるし、いろいろな場所でゲームを楽しみたい人もいる。大人もいれば、子どももいる。複数のゲーム機を持つ人もいれば、PCを併用する人もいるし、そうでない人もいる。

 多様性のあるゲーム市場の中で成功した1つのモデルがNintendo Switch。だからこそ、任天堂は「より良いSwitch」として、Switch 2を作り上げた……ということなのだろう。

 Switchの現在の課題は、最新のゲームでは性能不足が目立ち始めていたことだ。2017年発売で8年の時間が経過しており、しかも、そもそも高性能だったわけではない。今後5年から8年間の基盤とするには、性能を押し上げる必要があり、今回の性能アップはそのためのものだ。

 その上で、新しい要素も複数用意している。

 もっとも分かりやすいのは「Cボタン」を使った「ゲームチャット」だ。


Switch 2独自要素の「C」ボタン

 本体だけで音声チャットが可能になり、別売のカメラをつければ、ゲームを遊んでいる人の顔をお互いに見ることができる。ゲームをプレイしている画像をネットで送り、お互いに見ることだって可能だ。


ネットで一緒にプレイしている人同士で、それぞれの画面を見ながら楽しめる

 どれも他でできないか、というとそうではない。

 だが、Cボタンを軸に操作が分かりやすくまとめられており、シンプルかつ誰も使えそうな仕立てである点は、非常に任天堂らしい。

 顔を出してのゲームプレイは、YouTubeなどでの「ゲーム実況」でおなじみのものだ。任天堂の目指すところはゲーム実況ではないが、実況動画を見慣れた若い層には、特に魅力が伝わりやすいだろう。


ビデオカメラをつけることで、それぞれの顔を見ながらプレイ。これが簡単にできるのがSwitch 2の特徴

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