WWDCで発表された「Apple Intelligence」の新機能(Siri改善にはさらに時間が必要)
AppleはWWDC 2025でApple Intelligenceの新機能を発表した。期待されたSiriのパーソナライズ強化は延期されたが、「メッセージ」でのライブ翻訳、画面情報を認識するVisual Intelligence、Apple Watchのワークアウト支援機能などが披露された。
米Appleは6月9日(現地時間)、WWDC 2025の基調講演で、一連の次期OSで利用可能になる「Apple Intelligence」の複数の新機能を発表した。
なお、このイベントでは「Siri」のApple Intelligenceによるパーソナライズ強化が発表されると期待されていたが、ソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントであるクレイグ・フェデリギ氏は、そのための作業を続けてはいるものの、「高品質の基準に達するまでにさらに時間が必要だった。年内に、さらに詳しくお知らせできることを楽しみにしている」と語った。
「メッセージ」や「FaceTime」で使えるライブ翻訳
同時通訳のような「Live Translation」が、「メッセージ」「FaceTime」「電話」アプリで使えるようになる。
メッセージでは、入力したテキストがほとんど同時に翻訳され、受信者が希望する言語で送信される(返信も同様)。この機能は、英語(米国、英国)、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、中国語(簡体字)をサポートする。
FaceTimeでは、ユーザーは話者の声を聞きながら、翻訳されたライブキャプションを見ることになる。
電話では、翻訳が音声で読み上げられる。
FaceTimeと電話は、日本語はまだサポートしない。
「Visual Intelligence」の強化
カメラから得た画像を使って「検索」「翻訳」「情報登録」などを行う「Visual Intelligence」が、iPhoneの画面上のコンテンツにも対応する。「Googleレンズ」と同様に、画面に表示されている商品などを検索したり、ChatGPTに質問したりできる。さらに、イベント情報などを表示している場合は、そのイベントをカレンダーに追加するかどうか尋ねてくる。
Apple Watchの「Workout Buddy」
「Workout Buddy」は、Apple WatchでApple Intelligenceを活用するワークアウト体験。ユーザーのワークアウトデータとフィットネス履歴を取り入れ、Fitness+のトレーナーの音声データによる適切なアドバイスを、ワークアウト中にタイミング良く提供する(Apple Watchと接続するBluetoothヘッドフォンが必要)。まずは英語での提供だ。
「Shortcuts」の強化
複数のタスクをまとめて処理する「Shortcuts」も、Apple Intelligenceで強化される。Writing Toolsでのテキスト要約やImage Playgroundでの画像作成などの機能に対する専用アクションが表示される。
例えば、大学の講義の音声のトランスクリプトと自分が取ったノートを比較し、見落としたポイントを追加するShortcutを作成できるという。また、ChatGPTで応答を提供するオプションを選択することもできる。
ShortcutsはSpotlightからも実行可能になる。
GenmojiとImage Playgroundのアップデート
テキスト説明でGenmojiを作成することに加え、既存の絵文字を混ぜ合わせたり、テキストの説明と絵文字を組み合わせたりして新しいGenmojiを作成できるようになる。
画像を作成する際には、表情を変えたり、髪型などの個人の特徴を調整して友人や家族の見た目に近づけることができる。
Image Playgroundでは、ChatGPTとの連携で、油絵風、ベクターアートなどのスタイルを利用できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「iOS 26」正式発表 12年ぶりにデザイン刷新、“液体ガラス”のようなUIに
米Appleは6月9日(現地時間)、同社の開発者向けイベント「WWDC25」において、「iOS」を始めとするOS群のアップデートを発表した。2025年秋の正式提供を予定する。各OSのバージョン表記が統一され、次期iOSは19ではなく26になるという。また、ソフトウェアデザインを2013年の「iOS 7」から刷新、新デザイン言語「Liquid Glass」を採用する。
「macOS Tahoe 26」はIntel Macをサポートする最後のOSに
AppleがWWDC 2025で発表した新OS「macOS Tahoe 26」は、一部のIntel Macもサポート対象となる。しかし、これがIntel Macをサポートする最後のmacOSになることが明言された。Appleは今後、開発リソースをAppleシリコンに集中させる方針だ。
「iPadOS 26」発表 マルチウインドウやファイル管理強化で、より“macOSっぽく” デザインも刷新
米AppleがiPad用次期OS「iPadOS 26」を発表した。新しいウィンドウシステムを導入し、サイズの自在な変更や複数ウインドウの表示を実現した他、Apple Intelligence機能を強化し、リアルタイム翻訳などを追加する。2025年秋に正式提供予定。
「iOS 26」、iPhone XSなどが動作対象外に
米Appleが、6月9日(現地時間)に発表した「iOS 26」の対応機種を公表している。同バージョンから、iPhone 11シリーズ以降が対象となり、iPhone XS/XS Max/XRが対応モデルから外れた。


