文字起こし→要約・アウトプットまで全自動 厚さ3mmのAIボイレコ「PLAUD NOTE」が進化していた:小寺信良のIT大作戦(1/3 ページ)
厚さわずか3mmの薄型レコーダ「PLAUD NOTE」は単なる録音機器ではない。AIを活用して文字起こしから要約、マインドマップ化まで自動実行する次世代ツールだ。スマホへの音声転送、クラウドでの高精度文字起こし、テーマ別の要約生成を一気通貫で実現。会議やインタビューの録音から最終アウトプットまでのワークフローを試してみた。
IT系の方ならすでに体感しているところかと思うが、仕事の中にどんどんAIが入ってきている。それはChatGPTを使うか使わないかといったシンプルな話ではなく、いつも使っているツールの中にAIが入ってきたり、背後ではAIが動いているツールやサービスが登場したりといった形である。
「文字起こし」といわれる作業は、その最たるものだろう。われわれライターは取材やインタビューの録音音声を手打ちのタイピングで文字起こしするという作業を、それこそ40年ぐらいやってきた。だが昨今は、録音さえちゃんとやっておけば、録音ファイルから文字起こしをしてくれるサービスがいくつもある。
こうしたサービスやツールはスマートフォンに組み込まれ、スマホ録音から文字起こしというところまでは自動化できた。
とはいえ、多くの場合は音声が文字になるだけである。インタビュー形式の原稿では、相手のしゃべったニュアンスをそのまま記事化するので、ベタに文字起こしされていることは重要だ。だがシンポジウムや勉強会などで語られたものは、その聞いた話のエッセンスをまとめる必要がある。
こうした後処理を行うにもAIが利用できるが、それは文字起こしとはまた別の作業になる。複数のツールを渡り歩いてでも仕上げるのが仕事だろうと言われればそうなのだが、文字起こしから要約、エッセンスの抜き出しや話の構造化といった分析までいっぺんにできたら便利に違いない。
そうした録音から文字起こし、まとめまでをワンパッケージにまとめたのが、「PLAUD NOTE」だ。2年前にクラウドファンディングに登場したときは、「AI連携できる薄型レコーダー」ぐらいの認知だったが、その後AI側の機能が強化され、話を聞いてからアウトプットするまでの一気通貫環境といった格好になっている。
今回は発売後2周年を迎えたPLAUD NOTEと3カ月間フル機能が使えるアクティベーションコードを提供いただいたので、実際に試してみた。
PLAUD NOTEの構成
PLAUD NOTEは、薄型レコーダに無料の書き起こしAIがついているという構成だが、このAI部分、「PLAUD.AI」は別途アップグレードできる。無料のStarterプランでは月間の書き起こし時間が300分(5時間)までに制限されるほか、業界用語集、カスタマイズテンプレート、Ask AIといった機能が使えない。ある意味ハードウェア買い切りだとここまで、ということだ。
フル機能を利用するには年間1万6800円のProプランか、年間4万円のUnlimitedプランを選ぶ必要がある。Proプランは月間の書き起こしが1200分(20時間)までだが、Unlimitedプランは無制限となる。記者など毎日取材やインタビューをこなす人だと、Proプランは割とギリギリの線だ。
実際に利用を始める前に、専用アプリでレコーダーとのペアリングを行う。設定時に業界の選択などがあるので、それに合わせて文字起こしや要約などの機能がカスタマイズされる。
なにはともあれまずは録音である。レコーダーとしてのPLAUD NOTEは、クレジットカード大で厚みは約3mmと、超薄型だ。通常録音用のマイクはてっぺんに2つ、あとは通話録音用に骨伝導マイクが1つあり、表面にあるスライドスイッチで切り替える。録音開始と停止は丸いボタンを長押しするだけというシンプルさだ。録音中は、ロゴの「A」の真ん中にあるLEDが赤く点灯する。
この薄さのメリットは、専用マグネット吸着ケースを使うと、MagSafe対応のスマートフォンの背後にくっつけることができることだ。実はスマホでの通話を録音する際にはこの方法でスマホと密着させる必要があっての仕掛けなのだが、これがあるおかげでレコーダーの収納場所に困らないし、持っていくのを忘れる心配もない。取りあえず使わなくてもくっつけておけばなくさないという心強さがある。
バッテリー容量は400mAhで充電に2時間、連続録音動作時間は30時間となっている。基本的に録音の制限時間はなく、録音時間が5時間を超える場合、アプリに転送した際に複数のファイルに分割される。取りあえず1回充電してしまえば、その日はいくら録音しても大丈夫だ。
充電はマグネット式の専用ケーブルを使用する。これは本体裏側にくっつけて使用するが、マグネット吸着ケースに入れたままでも充電できるようになっている。このケースがあれば、そこから本体を取り出す必要はまずないと考えていいだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.





