Google DeepMind、ゲノム理解のためのAI「AlphaGenome」を非営利研究向けに提供開始
Google DeepMindは、ゲノム理解を深めるAI「AlphaGenome」を発表した。DNA配列の変異が遺伝子制御に与える影響を包括的かつ正確に予測することを目指す。既存モデルを上回る性能を示し、非営利の研究向けにAPIのプレビュー版が提供される。
米Google傘下のGoogle DeepMindは6月25日(現地時間)、ゲノムの理解を深めるための新しいAIツール「AlphaGenome」を発表した。人間のDNA配列における単一のバリアント(変異)や突然変異が、遺伝子を制御する幅広い生物学的プロセスにどのように影響するかを、より包括的かつ正確に予測することを目指すものだ。
Google DeepMindは、ゲノムは「細胞の取り扱い説明書」だが、これを解読することはいまだ生物学における最大の謎の1つだったと説明。AlphaGenomeは、「ゲノムを理解する上で生じる多数の課題を統合した、初の単一モデル」としている。
ENCODEやGTExなどの大規模な公開コンソーシアムから供給された実験データで訓練したAlphaGenomeは、最大100万塩基対の長いDNA配列を入力として受け取り、その制御活性を特徴づける数千の分子特性を予測する。変異した配列と変異していない配列の予測を比較することで、遺伝子変異や突然変異の影響を評価することも可能だ。遺伝子変異が様々な分子特性に与える影響を数秒で効率的に評価できる。
ゲノム予測ベンチマークで、単一DNA配列の予測では、既存の最良モデルを24評価中22評価で上回り、バリアントの制御効果の予測では、26評価中24評価で既存のトップモデルと一致またはそれ以上の性能を示した。
課題としては、他の配列ベースのモデルと同様に、10万DNA文字以上離れた遠隔の制御要素の影響を正確に捉えることは依然として難しい。また、個人ゲノム予測のためには設計、検証されておらず、遺伝子変異が複雑な形質や疾患にどのようにつながるかという全体像は提供していない。
非商用研究向けにAlphaGenome APIを通じてプレビュー版を提供開始した。将来的には、トレーニングデータを拡張することで、さらに性能を向上させ、より多くの種、追加のモダリティへの対応が可能な、柔軟でスケーラブルなアーキテクチャとなる可能性があるとしている。
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