“1日1万歩”は多すぎた? 歩数と死亡率の関係、豪州チームが調査:Innovative Tech
オーストラリアのシドニー大学などに所属する研究者らは、1日の歩数と健康の関係について分析した研究報告を発表した。
Innovative Tech:
このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
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オーストラリアのシドニー大学などに所属する研究者らが発表した論文「Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis」は、1日の歩数と健康の関係について分析した研究報告だ。
研究チームは、1日の歩数と健康の関係を探るため、2014年1月から25年2月までに発表された文献から57研究を分析。対象となった研究の参加者は、16万人以上に及ぶ。
分析の結果、1日7000歩が多くの健康において臨床的に意味のある改善と関連することが明らかになった。1日2000歩と比較して、7000歩では全死因死亡率が47%低下、心血管疾患発症リスクが25%低下、心血管疾患死亡率が47%低下、がん死亡率が37%低下、2型糖尿病発症リスクが14%低下、認知症リスクが38%低下、うつ症状リスクが22%低下、転倒リスクが28%低下することが示した。
1日1万歩は長年にわたり非公式な目標とされてきたが、明確な科学的根拠に基づくものではなかった。今回の研究では、1万歩でも健康上の利益は継続するものの、7000歩を超えてからの追加的な効果は限定的であることを示した。
例えば、全死因死亡率では7000歩と比較して1万歩で10%のさらなるリスク低下が見られたが、心血管疾患死亡率、がん発症、2型糖尿病、転倒については7000歩を超えても統計的に有意な追加的リスク低下は認められなかった。
年齢別の解析では、若年成人(平均年齢65歳未満)と高齢者(65歳以上)で違いが見られた。全死因死亡率については、若年成人では非線形の関係を示したが、高齢者では線形の関係を示し、歩数が増えるほどリスクが継続的に低下した。
また研究では、1日2000歩しか歩かない人が4000歩に増やすだけで、死亡リスクは36%も低下することも示している。
Source and Image Credits: Ding Ding, Binh Nguyen, Tracy Nau, Mengyun Luo, Borja del Pozo Cruz, Paddy C Dempsey, Zachary Munn, Barbara J Jefferis, Cathie Sherrington, Elizabeth A Calleja, Kar Hau Chong, Rochelle Davis, Monique E Francois, Anne Tiedemann, Stuart J H Biddle, Anthony Okely, Adrian Bauman, Ulf Ekelund, Philip Clare, Katherine Owen. Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis
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