トランプ大統領「NVIDIAはH20の中国売り上げの15%を米国に」でファンCEOと合意
トランプ米大統領は、NVIDIAのAIチップ「H20」の中国向け輸出について、売上の15%を米政府に納めることを条件に認めると発表した。国家安全保障上の懸念は限定的とし、より新しい「Blackwell」の輸出も機能を落とせば認める可能性を示した。
ドナルド・トランプ米大統領は8月11日(現地時間)の記者会見で、米NVIDIAの「H20」について、中国向け輸出を条件付きで認める方針を説明した。
条件は、H20の対中売り上げの15%を米政府に拠出させるものだ。トランプ氏はNVIDIAのジェンスン・ファンCEOに「当初は20%を求めたが、最終的に15%で合意した」と交渉経緯を述べた。中国市場での販売を許可する代わりに、米国として相応の対価を得る仕組みだと位置づけた。
トランプ氏は「素晴らしい人物である」ファンCEOと取引したと語り、同氏を「非常に聡明な人物」だと評した。
トランプ氏はH20を「古い」チップと位置づけ、中国には既に同レベルのチップを持っているとして、H20を輸出しても国家安全保障上の懸念は限定的だと強調した。一方で、より新しい「Blackwell」世代の対中供給は認めないと語った。ただし、大幅に性能を絞ったバージョンであれば認める可能性があるとした。
同氏はまた、今回の措置は輸出管理の骨格を崩すものではなく、対中輸出を全面禁止するよりも、管理された形で米国側がリターンを得ることに意義があると説明した。H20は今年4月に一時的な対中販売停止措置の対象となっていたが、その後の審査で出荷再開に向けた許可が出ていた経緯にも言及した。
この発言は、ワシントンD.C.の治安悪化に対処するための取り組みを発表するための会見で、ある記者が米連邦政府はNVIDIAとAMDの最も高度なチップの提供に合意したのかどうか尋ねたことに対する回答として行われた。
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