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ついに「BS 4K」を見限る民放、4K放送はどこへ向かう?小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(2/3 ページ)

9月8日ごろから一部メディアが報じたところによると、民放5局が2027年にもBS 4K放送から撤退する方針を固めたという。同日行われた総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会・衛星放送ワーキンググループ第15回」での議論がソースになっているようだ。放送としての4Kは、どこへ行くのだろうか。

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WGで何が語られたのか

 衛星放送ワーキンググループ第15回で公開されているTBSホールディングス提出資料では、BS4K放送の課題が4つ挙げられている。

 1つ目は、圧倒的なリーチ力不足だ。そもそもユーザーが来ない、さらに誰が見ているのかのデータも取れないことから、ネット的な方法論が使えずセールス拡大ができない。


BS4Kはなぜ売れない? TBSホールディングス発表資料

 2つ目はコストと作業時間だ。現時点では2K放送用と4K放送用の2パターンを編集していることから、制作費として20〜25%が上乗せされているという。4Kで作って2Kにダウンコンバートすればいいんじゃないかと思われるかもしれない。筆者もそう思うが、おそらく解像度が違うためにテロップサイズを変えているのではないかと想像する。


BS4K放送の課題2(TBSホールディングス発表資料)

 3つ目は1つ目ともつながるが、事業費用の大きさだ。24年度では事業収入が約1200万円なのに対し、事業費用が約8.6億円かかっている。確かに放送機材費で考えるとHD放送よりも高価な機材となるが、大赤字にも程がある。


BS4K放送の課題3(TBSホールディングス発表資料)

 4つ目はマスター更新時期が迫っていることだ。30年に更新が必要だが、現行のマスターは約15億円かかっている。人件費や原材料費高騰を考えると、次の更新はそれ以上に費用がかさむ可能性がある。


BS4K放送の課題4(TBSホールディングス発表資料)

 このような理由から、放送から配信へ移行したいという希望のようだ。


4Kの選択肢とは?(TBSホールディングス発表資料)

 衛星放送協会が公開した資料では、これまで左旋で放送してきたショップチャンネル4K、4K QVCの事業についてまとめている。これによれば、左旋放送の時にはずっとトランスポンダ使用料が無料だったようである。


4KQVCとショップチャンネル4Kの推移(衛星放送協会発表資料)

 そこから右旋に移行し、視聴可能な世帯数がかなり増えることで、ビジネス的には有利になるだろう。とはいえ、テレビショッピングがコンテンツのメインということはありえない。やはり魅力的なコンテンツがあってこその視聴率でありショッピング機会の向上であることは自明だ。このため、4Kコンテンツの制作支援に乗り出すべきと総務省へ提案している。


4K放送の今後(衛星放送協会発表資料)

 また日本ケーブルテレビ連盟の資料によれば、ケーブルテレビのインフラが高速化したことで、4K放送が可能な局が増加している。


ケーブルテレビの現状認識(日本ケーブルテレビ連盟発表資料)

 ケーブルテレビ局制作による4K番組も増加しており、自局で編集したのちデータをポストプロダクションに持ち込み、放送波番組同様のクオリティーで制作しているという。これまで地域情報とコミュニティーチャンネルでしかなかったケーブルテレビが、4Kで強い番組を作る局も出てきた。


オリジナルコンテンツもレベルが上がっている 日本ケーブルテレビ連盟発表資料

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