AI時代の本命か? 画面が付いたMetaの新スマートグラスに感じた可能性 実機に触れて見えたこと(2/4 ページ)
米Metaが新しいスマートグラス「Meta Ray-Ban Display」を発表した。筆者はカリフォルニア州・メンローパークにあるMeta本社で、製品を試すことができた。他のXR機器やスマートグラスとどう違うのか、そしてなぜ、Metaはこの製品を「AI時代のキーアイテム」と位置付けているのだろうか。その点を解説してみたい。
鮮明なディスプレイ、だがXR機器ではない
Meta Ray-Ban Displayのディスプレイはかなり鮮明だ。
スマートグラスは多数あり、その中にはディスプレイ搭載のものも出始めている。しかしその多くは、解像度が低かったり緑色一色の表示だったりと、色々制限もあるものだ。
理由は、メガネの中に組み込めるサイズのディスプレイを作り、屋外を含めた明るい環境でも見られるものを作るのはまだ難しいからだ。
MetaはスマートグラスやXRデバイスの研究を10年以上続けており、「元がとれないのではないか」と言われるほどの投資も続けている。その結果として、「室内ならバッチリ、屋外でもそこそこ見える」「スマホなどの画面と見劣りしない画質を備えている」「しかもメガネの形を維持できる」という条件を備えたディスプレイを搭載できた。
Meta Ray-Ban Displayは、一見して「ゴツめのメガネ」くらいの大きさだ。だが、右目の中央から少し右にずれた部分に正方形の表示領域があり、そこに、フルカラーで非常に鮮明な映像が見える。
プロジェクターは右のヒンジの部分にあり、小さなサイズで600×600ドットしかないという。
だが、表示方法が上手いためか、視界の中には「フルカラーで非常に精細な映像」に見える。解像感を測る指標である「PPD(Pixel Per Degree)」で表すと「42」。同社のMeta Quest 3が25PPDなので、それよりもかなり細かく見える。
写真だと色がおかしく見えるが、これは撮影の事情であり、人の目で見れば鮮明なフルカラー画像だ。
ただ、「Meta Quest」や「Apple Vision Pro」のようなXR機器と違い、「自分の向いている方向に合わせて映像を動かす」機構はないし、視野は20度しか覆わない。
XR機器や「XREAL One」のようなサングラス型ディスプレイは、空間に巨大なディスプレイを表示する仕組みと言える。だがMeta Ray-Ban Displayは、普段必要なちょっとした情報を「視界の邪魔にならない場所」に表示しておくためのデバイス、と言える。そもそも役割が違うのだ。
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