日本年金機構、チャットbotに生成AI活用 多言語対応と運用負荷軽減へ
日本年金機構が、年金に関する相談や問い合わせに対応する「ねんきんチャットボット」に生成AIを導入し、2026年4月から運用を開始する。生成AIは富士通が事業モデル「Uvance」のオファリングを通じて提供。サービス構築は2025年11月に開始する。富士通が11月6日に発表した。
この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「日本年金機構、生成AI活用でチャットボットの多言語対応と運用負荷を軽減」(2025年11月6日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
日本年金機構が、年金に関する相談や問い合わせに対応する「ねんきんチャットボット」に生成AIを導入し、2026年4月から運用を開始する。生成AIは富士通が事業モデル「Uvance」のオファリングを通じて提供。サービス構築は2025年11月に開始する。富士通が11月6日に発表した。
生成AIの導入により、利用者からの相談対応の利便性や品質を向上させ、職員の作業負荷を軽減することを目指す。従来の日本語のみの応対に加え、英語や中国語など6カ国語の多言語対応も進める。
日本年金機構は、全国312カ所の年金事務所の対面窓口や電話に加え、20年からは富士通が提供するAIチャットbotサービスを適用した「ねんきんチャットボット」を導入し、運用してきた。このチャットbotは、年間約60万人に利用されており、手軽に相談できる点が評価され利用者数を伸ばしているという。しかし、年金制度改正などにより月に2回以上の頻度で生じるQ&Aデータのメンテナンスと更新の作業負荷が課題となっていた。
生成AIはメンテナンス作業の負荷軽減と品質向上を実現するために採用。年金制度改正などでQ&Aの内容更新が必要になった際、生成AIがQ&Aの素案を自動生成することで、従来のメンテナンス作業の大幅な削減が期待できるという。なお、実際にチャットbotが回答する内容は、最終的に職員が確認・精査した情報に基づくとしている。
また、日本語に加えて英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、ベトナム語、タガログ語での応対を開始する。これにより、外国人利用者への利便性向上も見込んでいる。
日本年金機構は今後、年金に関する相談や問い合わせに対応するデジタルチャネルの拡大を検討している。富士通は、事業主および個人の特性や利用者ニーズに応じたサービス拡充と利用促進を支援する方針だ。
中長期的には、各種手続きがネットで完結するデジタルチャネルの環境構築の実現と、それによる利用者への応対品質と満足度の向上、職員の業務削減を推進、支援していく。
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